アステラス製薬が米イオタ社を買収 バイオエレクトロニクス分野で「Rx+事業」を更に加速
公開日時 2020/10/19 04:50
アステラス製薬は10月15日、イオタ・バイオサイエンス社(米国カリフォルニア州)との間で、アステラス製薬が米国子会社を通じてイオタ社を買収することに合意し、契約を締結したと発表した。アステラス製薬とイオタ社は2019年8月に共同研究開発契約を締結。アンメットメディカルニーズの高い複数疾患を対象に、体内埋め込み型医療機器の詳細な仕様を検討した。買収によって、アステラス製薬はイオタ社独自の技術とバイオエレクトロニクス分野におけるトップタレントを獲得する。共同研究開発で見出したプロジェクトの開発を進めるほか、イオタ社独自の技術を用いた新たな疾患への適用および新規技術の開発に取り組むことで、バイオエレクトロニクス分野でRx+事業のさらなる加速を目指す。
Rx+事業は、医療用医薬品(Rx)事業で培ったアステラス製薬の強みをベースに、最先端の医療技術と異分野の先端技術を融合させることで、診断、予防、治療および予後管理を含む医療シーン全般において患者に貢献し、かつ単独で収益を生み出す。
イオタ社は、バイオエレクトロニクス分野において優れた業績を誇るMichel MaharbizとJose Carmenaによって2017年に設立されたスタートアップ企業。イオタ社は、電力供給および無線通信に超音波を用いた独自の技術を活用し、バッテリーやケーブルの搭載が不要な数ミリ以下の極小サイズの体内埋め込み型医療機器の開発を行っている。
従来の埋め込み型医療機器は電力を供給するバッテリーや情報通信用のケーブルおよび大きな電子回路の搭載が必要であるため、サイズの小型化が難しく、多くの場合、その埋め込みに侵襲性の高い手術を要するという課題があった。イオタ社の技術により、電力供給および無線通信に超音波を用いて極小の体内埋め込み医療機器を開発することでその課題を克服し、手術時だけでなく手術後の生活においても患者の身体的な負担を軽減することを期待している。
昨年8月の提携以来、イオタ社の持つバイオエレクトロニクス分野の基幹技術と知見、アステラス製薬の持つ生体や疾患理解における専門性や、創薬研究から上市への豊富な経験がもたらすシナジーによる共同研究開発を進めている。今後、複数プロジェクトの臨床試験を2020年代前半に開始予定としている。