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抗がん剤・エンハーツに適正使用のお願い 新型コロナと副作用のILD鑑別に「PCR検査を」

公開日時 2020/05/13 04:51
第一三共は5月12日、抗がん剤エンハーツ点滴静注用100mg(一般名:トラスツズマブ デルクステカン)について、重篤な間質性肺炎(ILD)と新型コロナウイルス感染症との鑑別の重要性を周知する「適正使用のお願い」を発出した。胸部画像所見や症状に類似点が多く、鑑別は困難な場合が多いと説明。「必ずSARS-CoV-2のPCR検査等の必要な検査を行う」ことを求めた。同剤は、重篤なILDにより死亡に至るケースがあったことから、添付文書でも警告として明記されている。

同剤の添付文書では、投与によりILDが発現し、死亡に至った症例が報告されている。そのため、「呼吸器疾患に精通した医師と連携して使用する」ことや、「投与中は、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認、定期的な動脈血酸素飽和度(SpO2)検査、胸部X線検査及び胸部CT検査の実施等、観察を十分に行うこと。異常が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行う」ことが警告として明記されている。

◎新型コロナと薬剤性ILD 画像所見、臨床症状ともに鑑別は困難

適正使用のお願いでは、新型コロナウイルスと同剤による薬剤師ILDの特徴が胸部画像所見や症状に類似していると説明した。具体的には、胸部画像所見のすりガラス陰影、症状でも咳嗽、息切れ、呼吸困難、発熱をあげた。そのため、「画像所見や症状から鑑別することは困難な場合があると想定される」として、PCR検査などの新型コロナウイルスの感染を診断する検査の必要性を指摘した。

また、エンハーツによるILDが疑われた場合には、直ちに同剤の投与を中止し、呼吸器疾患に精通した医師との連携したうえで、速やかにステロイド治療などを行うことが求められる。ただ、新型コロナウイルス感染症については、「現時点で一定の見解は得られていない」ことも指摘し、重ねて鑑別の重要性を強調した。

◎新型コロナ疑い例 投与前は「投与開始の延期」、投与中は「休薬」を

投与開始前には胸部CT検査や問診により、ILDに加え、新型コロナウイルス感染症の合併、既往がないことを確認し、慎重に投与の可否を検討することを求めた。CT所見などから新型コロナウイルスの感染が疑われた場合には、必ずPCR検査など鑑別に必要な検査を実施し、画像の陰影および症状がないことを確認するまで投与の開始を延期することを求めた。

投与中に新型コロナウイルスへの感染が疑われた場合には、直ちにエンハーツを休薬することとした。治療の再開は、画像所見や症状を確認し、慎重に判断することとした。

投与開始に際しては患者に、がんに罹患していることや抗がん剤治療が新型コロナウイルスの重症化リスクである可能性が高いことや、副作用と新型コロナウイルス感染症の症状が類似していることを説明。症状が発現した場合に電話相談や受診など、取るべき対応を事前に指導することを求めた。

◎クロロキン/ヒドロキシクロロキンとの併用は臨床試験では禁止に in vitro試験受け


このほか、新型コロナウイルス感染症の治療薬として期待されるクロロキン/ヒドロキシクロロキンについては、in vitro(試験管内)で、作用機序に関与する主要な細胞内コンパートメントであるリソゾームのpHに影響するが示されている。併用の影響は現時点では明らかではないとしているが、実施中の臨床試験では併用を禁止しているとしている。

同剤は、承認用量である5.4mg/kgの投与を受けたT-DM1治療歴のある切除不能/転移性HER2陽性乳がん患者のうち、8.2%(15例/184例)に、同剤との関連性の認められたILDが発現し、2.2%(4例)が死亡に至っている。日本人患者では、23.3%(7例/30例)に、同剤と関連のあるILDが認められている。

なお、同剤は現在、上市されておらず、13日の中医協で薬価収載が審議され、了承されれば20日も収載される見通し。

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