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製薬協・伍藤理事長 この10年間は「大きな構造改革の時期」 アジアとの連携も

公開日時 2020/03/23 04:50
日本製薬工業協会(製薬協)の伍藤忠春理事長は3月19日、総会後の会見で、3月末の退任を前に在任した10年間を振り返り、「振り返ると製薬業界にとって非常に大きな構造改革の時期に当たるのではないか」と述べた。新薬創出等加算に代表されるように、長期収載品に依存するビジネスモデルからの脱却を迫られた。一方で、アジア製薬団体連携会議(APAC)などを通じて、業界自らがリーダーシップを取り、アジア各国との連携に向けて歩んだことを「非常に画期的だと思った」と述べた。「会員企業も戦略の練り直し、体質改善が求められてきた」との認識を強調。新薬創出型企業にとって大きな変革を迫られた一方で、時代に即した新たなモデル構築の礎となる一歩を踏み出した製薬業界にエールを送った。

伍藤理事長は、この10年間を振り返り、構造改革の象徴として、①新薬創出等加算の制度化、②透明性ガイドラインに基づく情報公開、③APACを通じたアジアとの協調、連携―をあげた。

新薬創出等加算は2010年度薬価制度改革で試行的に導入され、2018年度薬価制度改革で制度化された。伍藤理事長は、「制度の下で我々業界、どうやって生き延びていくか。個別企業にとって変容を迫られる改革だと思う」と述べた。新薬創出型の製薬団体としては、特許期間後は後発品に道を譲ると主張してきたが、「それが定着するには時間がかかった。10年の前半は長期収載品に依存する面でも大きかった」と振り返った。一方で、後半の5年間は「このモデルでやっていくしかない、だいぶ定着してきたという印象だ」と述べた。

◎業界主導で動いたアジア戦略「業界主導のムーブメントが波及効果を生んだ」


一方で、市場としての成長が見込めるアジア市場を見据え、業界自らがイニシアチブを発揮し、13か国の団体に呼びかけ、APACがスタートしたことを評価した。現在では、PMDAがアジアの規制調和に積極的に取り組むが、「業界主導のムーブメントが波及効果を生んでいるという認識だ」と評価した。

このほか、情報公開については、ガイドラインの導入で、「会員企業の意識も変わってきた」との見解を表明。かつては、労務・資金提供など医師との不適切な関係が取りざたされたこともあった。伍藤理事長は、「医療関係者の意識も変わってきた気がする。世の中全体の流れから見て透明性や公平さを求めていくという流れは、抗う余地もない」と強調。模索してきた新たな形も、臨床研究法の法制化などを受けて定着が進んでいるとの認識を示した。

◎松原常務理事 APACや官民訪中再開振り返る

3月末に退任する松原明彦常務理事も、国際担当として取り組んだこれまでを振り返り、「APACが一番の手ごたえ」と語った。当初は怒鳴り合いからスタートした会議も、薬事規制調和が進み、成果も生まれてきた。さらに、「領土問題で中国との関係が難しかったが、官民訪中を再開できたのも大きな成果。政策交流会など、中国の制度改革が激しいなかで、開催して会員会社は参加してプラスがあったのではないか」と語った。

◎新理事長に白石順一氏 常務理事に中川氏

製薬協は、4月に新体制となる。3月で、伍藤理事長、川原章専務理事、松原明彦常務理事(国際担当)が退任。後任として4月1日から、厚労省OBで、事務次官級ポストの環境省地球環境審議官を務めたの白石順一氏が理事長に就く。また、常務理事(国際担当)は田辺三菱製薬出身の中川祥子氏が就く。川原専務理事の後任は空席で、川原氏は参与となる。


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