【World Topics】JPMorgan Health Care開幕
公開日時 2020/01/15 04:50
ラスベガスでのCESが終わったら、もう1つの年明け恒例は毎年サンフランシスコで開催されるJPMorgan ヘルスケア・コンファレンスである。JPMorganを関するようになったのは21世紀に入ってからであるが、そもそものスタートからは38回目を数える老舗だ。2020年は1月13日から17日まで。会場は旧い、狭い、高い等々の批判をよそに頑固に変わらずセントフランシス・ホテルである。主催者の発表によれば2020年の会議には世界各国450社から9000人以上が参加する。
https://www.jpmorgan.com/global/healthcare-conference
ヘルスケア系で米国最大のコンベンション・コンファレンスはHIMSSであるが、
https://www.himssconference.org/about/general-info/himss-global-conference-save-date
HIMSSが医療者向けとの姿勢・方針を貫いているのに対し、JPMorganは投資家対象の会議であり、その種のコンファレンスとしては最大且つもっとも歴史が長い。
関係大手各社のトップ・マネジメントが数多く参加するのがJPMorganのユニークな特徴である。文字通り良くも悪くも業界で話題となったCEOはほぼ確実に招かれて登壇すると言われており、投資会社はもとより民間大手病院チェーンから保険各社等々、もちろんベンチャー各社からもCクラスが参加する。JPMorganでは、会議後のディナーやドリンクの場で、あるいはサンフランシスコに往復する飛行機の機内で、毎年大きな商談がまとまるという定評には説得力がある。
伝説的なエピソードはBrent Saundersである。2013年初夏に当時CEOであったBausch & LombをValeant Pharmaceuticalsに$8.7Bで買収させるディールをまとめたBrentは、2013年10月に抗うつ剤と抗生物質メーカのForest Labsに転じるや、CEOとして2014年1月のJPMorganに出席。会期中にステーキ・ディナーの席でActavisのCEOのPaul Bisaroと交渉。その場でForest を$28BでActavisに売却するディールをまとめ、業界を驚かせた。
開催前から参加者の面談のアポ取りを積極的に支援するのもJPMorganの伝統だが、今年は誰が誰とアポを取っているのか?どんなディールが成立するか?誰もが固唾を呑んで見守っている、その息遣いが聞こえる気のする会議である。(医療ジャーナリスト 西村由美子)