日薬連・製薬協年頭所感 イノベーション創出に向けた環境整備求める
公開日時 2020/01/07 04:50
日本製薬団体連合会の手代木功会長(塩野義製薬社長)と日本製薬工業協会の中山讓治会長(第一三共会長)は2020年の年頭所感を発表した。いずれも、持続可能な社会保障制度を目指す必要性を強調。医薬品は社会保障の持続性に寄与できるとして、「イノベーションの創出に向けた環境整備」が重要だと指摘した。そのためには、「イノベーションの適切な評価の推進」が必要だとして、引き続き環境整備に積極的に取り組んでいく考えを示した。
◎日薬連・手代木会長 「国民全体から信頼される社会保障を」
手代木会長は、相次ぐ薬価改定により、医薬品業界は非常に厳しい環境に置かれていると指摘。「財源を薬価引き上げで調整するといった安易な方策ではなく、社会保障全体を各ステークホルダーが一丸となって抜本的な議論を進め、国民全体から信頼される持続可能な社会保障制度・国民皆保険制度を目指していきたい」と述べた。
日薬連としては、▽イノベーションを適正に評価する薬価制度の改善並びに研究開発税制の拡充、▽セルフメディケーションの推進とセルフメディケーション税制の維持・拡充、製薬産業の国際化―に引き続き取り組んでいくと強調した。
また、薬機法改正に伴い、今までにも増して、国民のニーズに応える革新的医薬品の創出やガバナンスの強化、アジア諸国における日本の革新的医薬品のアクセス向上に取り組む必要性があると指摘。「政府と協力しながら規制調和に向けた環境整備にも取り組んでいきたい」とした。
◎製薬協・中山会長 「医薬品は社会保障の持続性に寄与できるもの」
中山会長は、社会保障制度の支え手不足という社会課題に対し、「課題解決の一翼を担ってまいりたい」と強調。「疾病治療におけるイノベーションにとどまらず、予防・先制医療の実現による健康寿命の延伸によって、従来の支えられる側を支える側に転換し、就労人口を増やすこと」によって可能になると訴えた。
このため、医薬品は「社会保障の持続性に寄与できるもの」だと強調し、「価値を持つ医薬品は一定の評価がされるべきものだ」と指摘した。そのうえで、革新的新薬の恩恵を広く日本にもたらし、健康寿命の更なる延伸を実現するためには、▽イノベーションの創出に向けた環境整備と、▽イノベーションの適切な評価―が両輪として強力に推進されることが必要だと訴え、全力で取り組んでいく考えを示した。