米FDA 新長官に腫瘍医Hahn氏
公開日時 2019/11/15 03:50
米食品医薬品局(FDA)長官にNed Sharpless長官代理に代わって、MDアンダーソンがんセンターのStephen Hahn腫瘍放射線治療部長が就任することになった。Donald Trump大統領が11月1日に指名した。米AP通信、ニューヨークタイムズ、NBC放送など複数媒体が報じた。
Stephen Hahn氏は、は腫瘍医で、1989年から95年にNCI(国立がん研究所)に勤務後、ペンシルバニア大学などを経て、2014年からMDアンダーソンがんセンターで臨床医を務め、2017年にはMDアンダーソンがんセンターの最高執行責任者(COO)、翌2018年には最高医療責任者(CMO)に就任した。政府関係機関の勤務経験はなく、政治経験もないが、長年の共和党の献金者として知られ、かつての献金先として、George・W・Bush元大統領(息子)、Mitt Romney上院議員およびJohn McCain上院議員らの名が挙がっている。Trump大統領の名前は挙がっていない。このため、議会(上院のみ)の承認は得やすいと見られている。
米トランプ大統領は、同氏が、MDアンダーソンがんセンターで、人員削減を行うと同時に数億ドルに上る赤字財政から同センターを再建した手腕を買ったといわれる。
また、2018年に同センターで汚染血液が白血病患者に輸血され、死亡した事件でFDAが調査に入り、この際のHahn氏の積極的な協力姿勢がFDAの印象を良くしたとも伝えられる。なお、MDアンダーソンがんセンターはテキサス大学の関連施設である。
同氏は、FDA行政においては、Sharpless長官代理の前任者Scott Gottlieb氏の路線を踏襲、審査承認制度や諸手続きのIT化などFDA業務の一層の近代化、電子タバコ規制、オピオイド乱用対策などを重点に置いた施策を推進すると見られている。
米NBCニュースによると、Hahn氏のMDアンダーソンがんセンターでの年収は93万3000ドルで、FDA局長の年収は16万ドルだといわれ、大きな差があるが、Hahn氏はこれを受諾したようだ。Sharpless長官代理の任期は11月1日までとなっており、このまま、同長官代理が正式な長官になるのではとの予想も出ていたが、結局、ギリギリのタイミングでHahn氏に決まった。