薬食審 11月25日に第二部会 9製品を審議、アッヴィの抗リウマチ薬ウパダシチニブなど
公開日時 2019/11/12 03:51
厚生労働省は11月25日に、新薬の承認の可否などを審議する薬食審・医薬品第二部会を開催する。当日は新薬9製品を審議する予定。この中にはアッヴィの関節リウマチに用いるJAK1阻害薬リンヴォック錠(一般名:ウパダシチニブ)や、バイエルの前立腺がんに用いるアンドロゲン受容体阻害薬ニュベクオ錠(ダロルタミド)、MSDの新規のHIV-1感染症治療薬ピフェルトロ錠(ドラビリン)などがある。
また、この日の部会では、がん免疫療法薬の抗PD-L1抗体バベンチオ(アベルマブ)と、抗PD-1抗体キイトルーダ(ペムブロリズマブ)について、それぞれ腎細胞がんの2次治療以降の適応追加を取り上げる。バベンチオは審議品目、キイトルーダは報告品目となるが、いずれも承認となった場合、チロシンキナーゼ阻害薬のアキシチニブと併用して用いることになる。キイトルーダは頭頸部がん(2次治療以降)の効能追加も報告される予定。
【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
▽シムジア皮下注200mgシリンジ、同皮下注200mgオートクリックス(セルトリズマブペゴル(遺伝子組換え)、ユーシービージャパン):「乾癬」を追加する新効能・新用量医薬品。
ペグヒト化抗ヒトTNFαモノクローナル抗体Fab断片製剤。現在は「関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」の効能・効果で使用されている。
▽リンヴォック錠7.5mg、同錠15mg(ウパダシチニブ水和物、アッヴィ):「関節リウマチ」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
選択的JAK1阻害薬。1日1回の経口投与で用いる。中等度から重度の関節リウマチ患者に対して、従来型合成DMARDとの併用、非併用に関わらず使用できるよう開発された。関節リウマチに用いるJAK阻害薬はゼルヤンツ(トファシチニブ)、オルミエント(バリシチニブ)、スマイラフ(ペフィシチニブ)――の3剤が上市されており、リンヴォックは承認されれば4番手となる。
▽オフェブカプセル100mg、同カプセル150mg(ニンテダニブエタンスルホン酸塩、日本ベーリンガーインゲルハイム):「全身性強皮症に伴う間質性肺疾患」を追加する新効能医薬品。希少疾病用医薬品。
低分子チロシンキナーゼ阻害薬で、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)αβ及び線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)1,2,3及び血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)を標的とする。現在は特発性肺線維症の治療薬として使われている。
▽ピフェルトロ錠100mg(ドラビリン、MSD):「HIV-1感染症」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。
新規の非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)。耐性ウイルスに対して高い活性を示すとされる。他の抗HIV薬と併用して、1日1回の経口投与で用いる。
▽ドウベイト配合錠(ドルテグラビルナトリウム/ラミブジン、ヴィーブヘルスケア):「HIV感染症」を対象疾患とする新医療用配合薬。希少疾病用医薬品。
インテグラーゼ阻害薬のドルテグラビル50mgと、核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)のラミブジン300mgを含有する2剤レジメン製剤。ヴィーブは、抗レトロウイルス治療歴がなく、ドルテグラビルおよびラミブジンのいずれに対する薬剤耐性関連変異が認められていないHIV-1成人感染患者の治療を予定適応に申請した。既治療成人患者に対する2剤レジメン製剤はあるが、未治療患者に対する2剤レジメン製剤は、承認されれば、今回が初となる。
▽ノクサフィル錠100mg、同点滴静注300mg(ポサコナゾール、MSD):「真菌症」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
▽ザバクサ配合点滴静注用(セフトロザン硫酸塩/タゾバクタムナトリウム、MSD):「敗血症及び肺炎」を追加する新効能・新用量医薬品。
β-ラクタマーゼ阻害剤タゾバクタム0.5gに新規のセフェム系薬セフトロザン1.0gを配合したもの。現在は血流感染を起こしやすく、重症化することがある尿路感染症や腹腔内感染症の治療に使われている。
▽バベンチオ点滴静注200mg(アベルマブ(遺伝子組換え)、メルクバイオファーマ):「腎細胞がん」を追加する新効能・新用量医薬品。
がん免疫療法薬で、 ヒト型抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体。腎細胞がんの2次治療以降の適応追加を審議する。臨床試験はバベンチオにチロシンキナーゼ阻害薬インライタ(一般名:アキシチニブ)を併用した試験デザインになっており、承認となった場合、インライタと併用して用いることになる。
▽ニュベクオ錠300mg(ダロルタミド、バイエル薬品):「前立腺がん」を対象疾患とする新有効成分含有医薬品。
非ステロイド性のアンドロゲン受容体阻害薬。同種同効薬にはアステラス製薬のイクスタンジ(エンザルタミド)などがある。
【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告予定品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。
▽キイトルーダ点滴静注20mg、同点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD):「腎細胞がん」と「頭頸部がん」を追加する新効能・新用量医薬品。
がん免疫療法薬で、ヒト化抗ヒト PD-1 モノクローナル抗体。今回追加する腎細胞がん、頭頸部がんともに2次治療以降で用いる。腎細胞がんについては、チロシンキナーゼ阻害薬アキシチニブと併用して用いる。
▽アドセトリス点滴静注用50mg(ブレンツキシマブベドチン(遺伝子組換え)、武田薬品):「T細胞リンパ腫」「ホジキンリンパ腫及び未分化大細胞リンパ腫」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。
微小管阻害薬結合抗CD30モノクローナル抗体。厚労省によると、今回、成人患者については再発又は難治例に使用できるとのしばりを外し、未治療から使えるようにする。新たに小児用量を新追加するが、こちらは再発・難治例に使用する。
▽ダラザレックス点滴静注100mg、同点滴静注400mg(ダラツムマブ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ):「多発性骨髄腫」を対象疾患とする新用量医薬品。希少疾病用医薬品。
ヒト型抗CD38モノクローナル抗体。厚労省によると、今回、投与間隔に関して報告される予定。