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自民党・人生100年戦略本部 日看協・有識者から意見聴取 中間報告に向け政府にデータ提出を要請

公開日時 2019/11/05 03:50
自民党の「人生100年時代戦略本部」(本部長:岸田文雄政調会長)は10月31日、日本看護協会と有識者から全世代型社会保障について意見聴取した。これで関係団体のヒアリングを一旦終え、年末に向けて中間報告の取りまとめに入る。焦点の一つである高齢者の患者窓口負担の見直しについては、日本医師会が反対を表明する一方で、経済団体や有識者から引上げはやむを得ないとの見解が示されている。岸田文雄本部長は同日、宮下一郎内閣府副大臣に対し、高齢者窓口負担の引き上げや受診時定額制の導入などを実行した場合に所得者層にどのような影響があるかなど、実態に即したデータを11月中旬までに示すよう求めた。

◎日看協「医療提供体制の見直しや改革を行う余地がある」

この日のヒアリングで日本看護協会(日看協)は、「財政的な効果に直結する方策を導入する前に、医療提供体制の見直しや改革を行う余地がある」として議論をけん制した。その上で日看協は、予防に対する施策の充実を提言。「健康な人を含む乳幼児から高齢者まですべての世代を予防的なアプローチの対象とすることで、ヘルスリテラシーが醸成され、医療機関への受診に至るケースを減少できる可能性がある」と指摘した。そのうえで、患者負担と給付範囲の見直しについては、「治療が必要な人々への受診抑制につながらないよう慎重な議論が必要だ」と訴えた。

◎有識者―後期高齢者の窓口負担2割引き上げを提案


三菱総合研究所の武田洋子政策・経済研究センター長は、人口減少の進展から社会保障の「支え手」が減少する一方で、高齢化が急速に進んでおり、一人当たりの医療費はこの30年間で2.6倍に膨れあがっていると指摘。団塊の世代が75歳に達し始める2022年を見据え、「給付と負担のあり方の見直しが急がれている」と危機感を示した。そのうえで「2022年問題の先送りはできない」として、2022年以降に後期高齢者を対象に窓口負担を現行の1割から2割に引き上げるほか、新たに70歳になる高齢者に対しては窓口負担を3割のまま維持するよう求めた。

東海大学健康学部の堀真奈美教授は後期高齢者の窓口負担について、「75歳以上の高齢者も同じ2割を維持し、全世代で社会保障を支える仕組みを構築すべき」と訴えた。また堀教授は、受診時定額負担の必要性も強調。諸外国と比較して外来受診頻度が高い現状を指摘したうえで、「受診抑制とはならない範囲で受診行動の適正化が実現する可能性も高い」と意義を訴えた。
 


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