その上で田村氏は、看護補助者の給与水準が全産業を下回っていることを指摘し、「こういう方々に一次的な給付をやらなければいけない。そして24年度のトリプル改定は、今までにないぐらいの報酬改定をしなければ、この方々の賃金は上がらない」と述べ、政府側に見解を求めた。

◎武見厚労相「トリプル改定見据え、経済対策で人材確保に向けた賃上げを検討したい」

これに対し武見厚労相は、「昨今の高水準となる賃上げの動向であるとか、さらには人手不足を踏まえれば介護、医療分野における賃上げをはじめとする人材の確保は本当に重要な喫緊の課題だという認識を私も持っている。トリプル改定を見据え、総合経済対策においても人材確保に向けて、賃上げに必要な対応をしっかりと検討していきたい」と応じた。

◎岸田首相「産業全体の賃上げを考える中で、医療、介護、障害福祉分野の賃上げを考える」

岸田首相も、「まずは今回の経済対策において物価高騰や賃金上昇どのような対応を用意できるのか、しっかりと詰めていく。その中身を見た上で必要な処遇改善の水準を検討していかなければならない」と指摘。続けて、「いま具体的な数字を申し上げることはできないが、産業全体の賃上げを考える中で、医療、介護、障害者福祉分での賃上げがどうあるべきなのか真剣に考えたい」と答弁した。

◎自見地方創生担当相「経営努力のみで食事療養提供が極めて困難との声届いている」

田村氏はまた、「入院中の食事療養費は1998年ぐらいからずっと据え置かれ、委託単価を下回っている」と指摘。物価高騰に対する地方創生臨時交付金の運用など財政支援の必要性について政府側の見解を求めた。

答弁した自見英子地方創生担当相は、「入院中の食事療養費は1日につき1920円で、約30年間据え置かれており、もはや経営努力のみでは食事療養提供が極めて困難な状況だという悲痛な声を現場からいただいている」と説明。「こういった物価高によって厳しい状況にある生活者、事業者にしっかりと支援が行き届くよう、重点支援地方交付金を追加するとともに、執行にあたっては医療・介護など各行政分野を所管する各省庁から地方公共団体に対し、優良な活用事例等の情報を積極的に提供するほか、活用状況を丁寧にフォローアップするなど、きめ細やかな対応が非常に重要だと考えている」と応えた。

◎医薬品の安定供給で武見厚労相「経済対策で増産に向けた投資を支援する方向で検討進める」

このほか医薬品の安定供給問題について田村氏は政府見解を求めた。武見厚労相は、「今般の経済対策の中でも医薬品メーカーにおける増産に向けた投資を支援する方向で既に検討進めている」と説明。「不採算品再算定の仕組みを活用して24年度薬価改定に向けた議論をしていきたい」と述べた。

さらにドラッグ・ラグ／ロス問題について武見厚労相は、「薬価制度においてイノベーションを推進する観点から、新薬創出等加算により薬価の引き下げを緩和する仕組みなどを現実に設けている。24年度薬価改定においてはこれらの課題を解決すべく薬価制度の見直しを含めて検討を進めている」と述べ、「国民が必要な医薬品を使用できるよう、国民皆保険制度の持続性とイノベーション推進の両立が重要との認識のもとで、引き続き中医協において必要な議論を行ってまいりたい」と強調した。