米FDA HIV感染予防薬Descovyを承認
公開日時 2019/10/11 03:50
米食品医薬品局(FDA)は10月3日、Gilead Sciences Inc社の抗HIV薬Descovy(エムトリシタビン200㎎/テノホビル・アラフェナミド25㎎配合剤)についてHIV感染の高リスクがある男性同性愛者および女性への性転換者(体重35㎏以上の成人および青少年)におけるHIV曝露前予防(PrEP)の適応を承認した。異性愛者を除いた男性同性愛者及び女性への性転換をした男性における性交渉でのHIV感染リスクを減少させる。同剤の異性愛者における有効性については評価されていないため、適応となっていない。
Gilead Sciences社のDaniel O’Day会長兼CEOは、「これ(Descovyの承認)は、GileadがHIVとともに生きる、あるいはHIV感染リスクのある人々の進化するニーズに対応することと絶え間ないHIVケアのイノベーションを進めることに取り組んでいることを反映したものだ」とコメントした。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のJeffrey Murray抗菌剤部次長は、「PrEP薬は、ラベルに指示された通りに服用すれば高度に有効で、HIV感染を予防できる」と述べた。そのうえで、「この承認は、HIV感染リスクの高い一定の患者にさらなる予防オプションを提供し、新たなHIV感染を減少させるためにHIV治療および予防オプションの開発を促進させるので、FDAとHHS(保健福祉省)の取り組みの助けになる」とコメントした。
米国疾病管理予防センター(CDC)によると、2017年には新たに3万8739人がHIV感染の診断を受けた。米国では、AIDS撲滅のため、2019年5月5日にトランプ大統領は「一般教書」のなかで、「HIV蔓延を終結させる:アメリカのための計画」(Ending HIV Epidemic: A Plan for America)を提唱、今後5年間でHIV新規感染を75%減少、今後10年では90%減少させ、その間に25万人以上のHIV感染を減少させるとの目標を掲げた。このような観点からも、PrEP療法への期待は大きいものがあるといえそうだ。