中外 視神経脊髄炎スペクトラム用薬サトラリズマブ 年内にグローバルで申請へ
公開日時 2019/09/13 03:50
中外製薬は9月12日、ヒト化抗IL-6レセプターリサイクリング抗体サトラリズマブ(一般名、開発コード:SA237)について、視神経脊髄炎スペクトラム(NMOSD)を予定適応症として年内にグローバルで承認申請すると発表した。申請する国に日本も含まれるかは開示していない。単剤及びベースライン治療への上乗せ投与のいずれでも、有効性と安全性を確認した。
サトラリズマブは米国と欧州で希少疾病用医薬品の指定を受けている。米国ではブレークスルーセラピー(画期的治療薬)の指定も受けている。
NMOSDは視神経と脊髄の炎症性病変を特徴とする中枢神経系の自己免疫疾患で、生涯にわたって衰弱を引き起こす。繰り返す再発により、神経の損傷や障害が蓄積される。症状として視覚障害、運動機能障害などが現れ、症状の発生が致死的な結果になる場合がある。
同社はこの日、サトラリズマブ単剤投与の有効性と安全性を評価した多施設共同第3相ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験「SAKuraStar試験」の結果を発表した。スクリーニング前12か月以内に少なくとも1回以上再発(初発含む)した20~70歳の男女95例に、サトラリズマブかプラセボを無作為に割り付け、0、2、4週目、その後は4週間隔で皮下投与した。その結果、サトラリズマブはNMOSDの再発リスクを有意に55%減少させた(ハザード比:0.45[95%信頼区間:0.23-0.89]、p=0.0184[層別log-rank検定])。治験期間を通じて良好な安全性プロファイルを示したという。なお、この試験には日本人は含まれていない。
一方で、同社は18年10月に、サトラリズマブをベースライン治療に上乗せ投与した際の有効性と安全性を評価した多施設共同第3相ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験「SAKuraSky試験」の結果を発表した。13~73歳の男女83例を対象に実施し、日本からも参加した。その結果、サトラリズマブ群は再発リスクを有意に62%減少させた(ハザード比:0.38[95%信頼区間:0.16-0.88]、p=0.0184[層別log-rank検定])。
■初のNMOSD治療薬に
同社の伊東康・上席執行役員プロジェクト・ライフサイクルマネジメント共同ユニット長は、「サトラリズマブは、2本の臨床試験で単剤およびベースライン治療への上乗せ投与のいずれにおいても有用性を示した、NMOSDに対する初の治療薬」とし、「IL-6阻害がNMOSD治療における有効なアプローチであり、サトラリズマブがNMOSDの患者さんに広く貢献できることを示すもの」だとしている。
サトラリズマブは中外が創製した。NMOSDの病態に深くかかわるとされるIL-6シグナルを阻害することで、NMOSDの再発抑制が期待されている。