英NICE オラパリブの使用推奨 基金活用で卵巣がんのファーストライン維持療法に
公開日時 2019/08/07 03:50
英国立医療技術評価機構(NICE)は7月26日、アストラゼネカ(AZ)社のPARP(ポリADPリボースポリメラーゼ)阻害剤Lymparza(オラパリブ)について、抗がん剤基金(CDF)を活用し、ファーストライン維持療法における使用を推奨すると発表した。適応は、BRCA遺伝子陽性進行高悪性度上皮性卵巣がん、化学療法感受性卵管がん、もしくは原発性腹膜がん。今回の推奨により、進行卵巣がん患者での投与適格者は約700例とみられる。
NICEのMeindert Boysen医療技術評価センター(CHTE)長は、「オラパリブは卵巣がんにすでに使用されているが、早期に使用されると大きなベネフィットが期待される。そして、最初の再発前に投与されると患者によっては治癒する可能性もあると考えられる」と同剤への期待感を示した。
NHSのCDFを活用し、抗がん剤を使用する場合には、進行中の臨床試験データをさらに集積することが求められる。現在までの試験では、オラパリブがプラセボと比較して、疾患増悪を約3年遅らせることが示されている。しかし、現段階では、オラパリブ服用患者におけるフォローアップ期間が十分ではないので、同剤服用患者がより延命しているかは不明だ。
NHSのJohn Stewart特務部長は、「オラパリブは、患者によりよい生存の機会を与え、進行卵巣がんの治療に大きな影響をもたらす可能性がある。このため、NHSイングランドは、患者のベネフィットばかりでなく、企業や納税者のベネフィットを明確にするようにAZおよびNICEと緊密に協力してきた」と話した。