旭化成・新中計 国内医薬・医療の販売力強化 導入・提携も推進
公開日時 2019/05/30 03:51
旭化成は5月29日、2019~21年度までの中期経営計画を発表し、国内医薬・医療事業の販売力を強化する方針を示した。小堀秀毅社長は会見で、薬価改定などで国内の事業環境は厳しいとの見方を示しながらも、高齢者の増加を商機と捉え、需要を取り込むと強調。重点領域の救命救急、循環器、整形、透析で培った事業基盤を生かし、「これまでの実績をさらに強化する。MR数を増やすのではなく、1人当たりの生産性を高めていく」と述べた。他メーカーとの提携や国内への製品導入も進める。
新中計では利益成長を重視する。ヘルスケア事業では「グローバル・ヘルスケア・カンパニーへの進化のさらなる加速」を基本戦略に、除細動器や透析関連機器などについて米国を中心に海外展開をさらに加速する。それにより最終年度の売上高は、18年度実績より約540億円増の3700億円(国内外別は非開示)を計画。最終年度の営業利益は、18年度実績より約140億円増の560億円(営業利益率15.1%)を目指す。約140億円の増益額のうち、90億円を海外事業で稼ぎ、440億円を計画。国内事業は50億円増の120億円を見込み、成長を支える。
国内医薬・医療では、除細動器や透析関連機器などのほか、血液凝固阻止剤・リコモジュリン、骨粗鬆症治療薬のテリボン、リクラスト、抗体医薬で関節リウマチ治療薬・ケブザラなどの主力品、今後予定する適応追加などで成長を確保する。MRの生産性向上について小堀社長は「活動しやすくするツールを取り入れたり、マネジメントスタイルを変えたりしていく」とだけ説明した。
さらに「オピニオンリーダーとのチャネルを業界の中で強め、外資メーカーから、旭化成ファーマ、旭化成メディカルのチャネルを活用したいというようなコラボレーションを、いかにつくり上げていくのかが極めて重要」と語った。
◎8000億円を投資 ヘルスケア新規事業にも
また、3年間で8000億円を投資する。ヘルスケア領域では、「新領域も視野にM&Aの機会を探索し、持続的成長に資する案件であれば獲得する」方針。既存事業に活かすため医療機器を経由した使用データや患者データの収集を検討する。また、予防領域の事業化も視野に入れる。
【主な計数目標】(18年度実績→21年度計画)
〇全事業
売上高 2兆1704億円→2兆4000億円
営業利益 2096億円→2400億円
営業利益率 9.7%→10.0%
〇ヘルスケア事業
売上高 3162億円→3700億円
営業利益 418億円→560億円
営業利益率 13.2%→15.1%