ファイザー 「アップジョン事業部門」を新設 グローバル・ヘッドオフィスは上海
公開日時 2019/01/31 03:53
ファイザーは1月1日付で、エスタブリッシュ医薬品事業部門を発展的に改組し、新たに「アップジョン事業部門」を新設した。オンコロジーや炎症・免疫、希少疾患、ワクチンなどの各部門は「イノベーティブメディスン事業部門」に集約し、アップジョン事業部門との2部体制に改めた。事業再編はグローバル方針に基づくもの。アップジョン事業部門の取り扱い製品は、ノルバスク、リピトール、セレコックス、リリカなど、非感染性疾患(NCDs)領域の治療薬となる。これら製品を通じ、患者負担の軽減に資する活動に注力する。なお、アップジョン事業部門のグローバル・ヘッドオフィスは中国・上海となる。
◎戻ってきたアップジョンの称号
製薬業界に「アップジョン」のブランドが舞い戻ってきた―。アップジョンは睡眠導入薬ハルシオンなどの主力品を軸に成長を遂げた米国系製薬企業の名称。1995年にファルマシアと合併し、ファルマシア・アップジョン社を設立。2000年には、モンサントと合併し、社名をファルマシアと改めたことから、アップジョンの称号は業界から消えていた。その後、ファルマシアは2003年にファイザーに買収され、2009年にはワイスをファイザーが傘下に収めている。
◎ノルバスク、リピトールなど非感染症性疾患(NCDs)領域を軸に展開
アップジョン事業部門の名称の由来について同社は、「アップジョンは、非感染症性疾患(NCDs)領域の低分子薬で古い歴史と実績がある。加えて、歴史的にイノベーティブな製品を開発してきたことから、今回この名前を用いることになった」と説明した。WHOはNCDsについて、不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒など共通の原因があり、生活習慣の改善により予防可能な疾患をまとめて定義している。このためアップジョン事業部門ではファイザーの代表的薬剤であるノルバスクやリピトールなどの生活習慣病薬や、セレコックス、リリカなどの痛みに関する治療薬などを取り扱う。
◎イノベーティブメディスン事業部門 病院部門を新設
一方、イノベーティブメディスン事業部門は、「オンコロジー部門」、「炎症・免疫部門」、「希少疾病部門」、「ワクチン部門」の各部門を配置。「インターナルメディスン部門」と新たに「病院部門」が加わった。インターナルメディスン部門は、これまでエスタブリッシュ医薬品事業部門が扱ってきた特許の切れた低分子の後発医薬品が組み込まれる。一方でバイオシミラーについては、オンコロジー部門や炎症・免疫部門に組み込まれ、すでにラインナップされた革新的新薬と一体で情報提供活動を行うことになる。このほか、「病院部門」では抗生剤や抗真菌薬などを取り扱う。
イノベーティブメディスン事業部門長とインターナルメディスン部門長は原田明久代表取締役社長が兼務する。アップジョン事業部門長はソナ・キム取締役・執行役員が就任した。今回の組織再編でエスタブリッシュ医薬品事業部門は廃止となった。