塩野義 抗インフルエンザ薬ゾフルーザの顆粒剤、今冬は発売せず 適応外使用のリスク回避
公開日時 2018/11/22 03:52
塩野義製薬は、9月に承認を取得した抗インフルエンザウイルス薬ゾフルーザ(一般名:バロキサビル マルボキシル)の顆粒剤について、今冬の2018‐19シーズンは発売しないことを決めた。同社広報部が11月21日、本誌取材に明らかにした。
顆粒剤は成人及び12歳以上の小児と、12歳未満で20kg以上の小児に対する用法・用量で承認された。ただ、同社は顆粒剤をいま発売すると、20kg未満の小児への適応外使用のリスクを回避できないと判断。現在申請中の20kg未満の小児に対する用法・用量の承認取得まで、顆粒剤の発売を見合わせることにした。
ゾフルーザは単回経口投与の新規機序の抗インフルエンザウイルス薬。顆粒剤の製品名は「ゾフルーザ顆粒2%分包」で、4月に承認申請し、約5か月後の9月14日付で承認を取得した。
■MRの情報提供内容を修正、「発売は19年度以降」
同社は20kg未満の小児に対する用法・用量の申請時期を明らかにしていないため、承認取得が見込まれる時期も不明。同社広報部は本誌取材に、「顆粒剤の薬価収載時期は未定。発売は19年度以降を予定している」と説明した。
同社MRは9月から顆粒剤の情報提供活動を始め、18‐19シーズンに発売見込みということも説明していた。ただ、11月12日から情報提供内容を修正し、顆粒剤の発売は19年度以降になるとの情報提供を行っている。
ゾフルーザは塩野義が創製したキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬で、既存薬とは異なる新しい作用機序でインフルエンザウイルスの増殖を抑制する。経口の単回投与であることから、利便性が高く、確実なアドヒアランスが期待できる。新規機序のため、耐性ウイルスが出現しても効果を発揮することも期待されている。