バイタルHD・村井社長 「価格交渉のベースができた」 薬価差圧縮は1%程度
公開日時 2018/11/13 03:50
バイタルケーエスケー・ホールディングス(HD)の村井泰介社長は11月12日、東京都内で開いた18年度第2四半期(4~9月)決算説明会で、流通改善ガイドライン(GL)の対応を進めたことで、医療施設側と価格を含む流通改善に向け話し合うなど「(価格)交渉のベースができた」と強調した。
村井社長は冒頭、「流通改善GLへの対応を最優先に取り組んだ」と述べた。9月までの妥結率(金額ベース)は93.2%で、薬価改定のあった2年前と比べ、1.0ポイント下がった。「極端に安いところ(高い割引を求める施設との取引)はお断りした」とし、薬価差は2年前と比べ1%程度、前年度と比べ1.5%強を圧縮したことを明らかにした。「手放しで喜べる水準ではないが、ある程度の結果が出たのではないか」と振り返った。(関連記事)
GL実施による医療施設側の購買姿勢については「購買の責任者の方の意識が変わった。立場の違いはあるが、(流通改善に向け)一緒にできることはやろう、できる限り互いに歩み寄ろうという姿勢は出てきた。大手チェーン調剤薬局でも上期は、単品単価交渉が広がったと感じている。(下期に)再交渉になるところはあるが、交渉のベースができた」と説明した。
子会社のバイタルネットの一條武社長は、▽GLにより購買側と共通認識を持って取引ができた▽見積も期間を明確にして話し合った――とし、川下ではGLを意識した取引が醸成されてきたことを成果に挙げた。その上で「川上の方があまり意識していなかったように思えた」と述べた。
バイタルHD・18年度第2四半期決算 医薬品卸事業は営業利益3倍増 価格改善が寄与
バイタルケーエスケー・ホールディングス(HD)が発表した2019年3月期第2四半期(4~9月)決算によると、医薬品卸売事業は、長期収載品やギリアド社のC型肝炎治療薬の減収などが影響し売上高は2611億7500万円、前年同期と比べ1.8%減、営業利益は全般的な価格の改善などで9億8900万円、205.2%増となった。同事業の通期予想は、売上高5317億1800万円の1.0%減、営業利益は25億2900万円の22.0%増。連結業績では、主に調剤薬局の業績の悪化が影響する。
【連結業績(前年同期比) 18年度予想(前年同期比)】
売上高 2749億7600万円(1.9%減) 5600億円(1.0%減)
営業利益 9億2200万円(119.2%増) 25億円(4.8%増)
純利益 26億5400万円(56.4%増) 45億円(0.7%減)