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財政審 社会保障費の伸び抑制を確認 販管費など製薬産業の費用構造に更なる切込みも

公開日時 2018/04/12 03:50

財務省の財政制度等審議会財政制度分科会は4月11日、2019年度以降も増大する社会保障費の伸びを一定程度抑制する方針を確認した。これを実現する施策として、地域医療構想の着実な実施を推進し、必要病床数や病院機能の見直し・再編を引き続き進めるとした。一方で高度・高額な医療技術や医薬品への対応として、安全性・有効性に加えて経済性や費用対効果を踏まえ、公的保険で対応する仕組みを構築する考えを示した。このほか製薬産業の費用構造にも着目し、他産業と比べ、営業費用など研究開発費以外の販管費比率の高さを指摘ながら、ここに切り込む考えを滲ませた。


社会保障費の自然増については、2018年度までの3年間を改革集中期間と位置づけ、総額1.5兆円の自然増の伸びの抑制を図ってきた。2019年度以降も同様に、一定程度の伸びの抑制を断行する構え。特にこの後の期間は、「高齢化」、「支え手の減少」、「技術の高度化」を視野に、財政と医療・介護保険制度の持続可能性の確保が重要となる。この日の財政審に主計局は、改革の視点を提示した。


具体的には、「高度・高額な医療技術や医薬品への対応」とし、新たな医薬品・医療技術については、経済性や費用対効果を踏まえて公的保険で対応する仕組みを求めた。一方で、少額な外来医療やOTC類似薬の処方など「小さなリスク」については、これまでのような手厚い保険給付の対象とするのでなく、「より自助で対応すべき」とした。すなわち「大きなリスクは共助、小さなリスクは自助」とする考え方だ。


また、「公定価格の適正化・包括化」として、診療報酬本体、薬価など保険償還の対象となるサービス価格については、国民負担を考慮し、できる限り効率的にするよう、診療報酬・薬価の適正化を進めるとした。医療提供体制の改革については、都道府県を中心とするコントロールの仕組みを整備・充実する。なお、地域別診療報酬の活用の一例として「奈良モデル」を紹介している。


給付と負担のバランスについては、高齢化や人口減少の中でも持続可能な制度とするため、「年齢でなく能力に応じた負担」とする考えも盛り込んだ。具体的には、団塊世代が後期高齢者となり始める2022年度までに、世代間の公平の観点を踏まえ、「後期高齢者の窓口負担の引き上げ」などの改革断行も滲ませている。さらに支え手減少下での医療費増加に対しても、負担能力に応じた給付の見直しなどを検討することなども視野に入れている。


◎薬価制度抜本改革 残された課題の着実な実施を


薬価制度改革については、新薬創出等加算対象品目を比較薬とする場合の取り扱いの見直しや、長期収載品の段階的な価格引き下げまでの期間のあり方については、「次期薬価改定に向けて検討」するとした。このほか、イノベーションの推進に向けて、創薬コストの低減や製薬企業の費用構造の見直し、さらには業界再編などに取り組む必要性を明示している。


特に製薬企業の費用構造については、昨年の改定論議の中でMRを含む営業コストの見直しが財務省から指摘されたところ。この日の財政審で主計局は、「医薬品産業の営業利益率は他産業と比較して高く、リーマンショックなどによる景気後退の影響も受けにくい」と強調。他産業と比較して、研究開発費率は高いが、それ以上に営業費用など研究開発費以外の販管費率が高いとし、ここにメスを入れる考えを示した。

 

 

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