武田 TiGenix社買収へ 消化器領域の開発品拡充で クローン病重症合併症の細胞治療薬、18年中に国内開発着手
公開日時 2018/01/09 03:50
武田薬品は1月5日、ベルギーで細胞治療薬の研究開発を手掛けるバイオベンチャーのTiGenix社を買収することで合意したと発表した。重点の消化器領域の後期開発品の拡充が主な狙い。現在、クローン病に伴う肛囲複雑瘻孔の治療薬として「Cx601」が欧州医薬品評価委員会(CHMP)で販売許可推奨の見解が示され、米国ではフェーズ3を開始した。日本では再生医療等製品として18年中の臨床開発に着手する。武田は、消化器領域の中でもクローン病は特に注力しているところで、同領域での治療薬の幅を広げる。
買収額は約5億2000万ユーロ、日本円にして約700億円で、武田は完全子会社化を目指す。欧州での「Cx601」の正式承認が得られ次第、買収手続きを進め、3月下旬から4月上旬に完了する見通し。武田は、TiGenix社と「Cx601」について米国外での独占開発・販売のライセンス契約を締結しており、今回の買収で後期開発品の拡充に加え、米国市場でのプレゼンス強化にもつなげる狙いがある。
「Cx601」は、ドナー由来の脂肪由来幹細胞の薬剤であり、活動期/軽度活動期のクローン病に伴う、既存治療や生物学的製剤によっても効果不十分な肛囲複雑瘻孔の治療薬として開発されている。病変内に局所注射し、症状を改善することを期待する。
そのほか、TiGenix社では、▽重症敗血症を対象にした脂肪細胞由来「Cx611」(フェーズ1/2)▽急性虚血性心疾患を対象にした「AlloCSC-01」(フェーズ1/2)を開発している。