【速報】18年度診療報酬改定 改定率本体0.55%引き上げ 薬価は1.7%程度引き下げ
公開日時 2017/12/13 11:20
政府・与党は12月13日未明、2018年度の診療報酬本体の改定率をプラス0.55%とすることを決めた。政府は社会保障費の伸びを6300億円から5000億円へと1300億円圧縮するため、薬価本調査に基づく市場実勢価格(薬価乖離率9.1%)に応じた薬価引き下げで改定財源を確保し、最終的に政府・与党間の詰めの調整を経て本体プラス改定を勝ち取った。前日12日午後には、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会の三師会が自民党本部を訪れ、岸田文雄政務調査会長、二階俊博幹事長に面談し、2016年度改定(本体+0.49)を上回るプラス改定とすることを求めていた。
薬価は通常改定分で1.3%程度、特例拡大再算定や市場拡大再算定などの外枠分を含めて1.7%程度引き下げる方向で最終の係数の詰めが行われる。高齢化のピークを迎える2025年に向け、医療従事者の人件費確保や地域医療を守る観点から、前回2016年度改定を上回るプラス改定が不可欠と判断した。
◎中医協総会で支払側・幸野委員が苦言 改定率決定に「前代未聞」
12月13日午前中に開かれた中医協総会では、診療・支払各側の18年度診療報酬改定の意見取りまとめが行われ、支払側はマイナス改定、診療側はプラス改定を求めた。通常であれば、中医協での意見取りまとめを経て、改定率が決定されるが、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、この意見陳述に先立って改定率が決定されたことに、「意見陳述はやめようかというところまでいった。前代未聞だ」と激しく非難した。改定率は、週明け18日に予定される加藤厚労相・麻生財務相の大臣折衝を経て、正式に決定される。
16年度改定に続き、見直しを迫られた調剤報酬だが、医科、歯科、調剤の配分は、1:1.1:0.3で、調剤は配分を堅持した。ただし、16年度改定同様に、チェーン薬局の適正化など外枠で引き下げられる見通し。
診療報酬全体(ネット)はマイナス改定となり、14年度改定は消費税増税分を上乗せしていることを考慮すると、実質的には3回連続マイナス改定となる。
◎新薬創出等加算の見直しを了承 制度化は見送りへ
同日午前中に開かれた中医協薬価専門部会では、新薬創出等加算の見直し案が了承された。有効性・革新性のある品目に絞り込みを行う評価に改めるが、企業要件、品目要件は当初案より緩和した(本誌既報、記事はこちら)。一方で、当初案に盛り込まれていた“制度化”については、厚労省保険局医療課の中山智紀薬剤管理官が「薬価基準制度の中のひとつに位置付ける方向性で検討している」と述べた。
新薬創出等加算品目のうち、類似薬効比較方式で算定する場合は「一律に累積された新薬創出等加算相当分を控除して算定する」としていたが、加算の対象外で類似薬効比較方式Ⅱに限定する。類似薬効比較方式Ⅰで算定された医薬品については、18年度改定では従来通りとし、20年度改定までに継続して検討する。