日医・横倉会長 診療報酬本体1.4%上回るプラス改定を要望 財務省との対立軸鮮明に
公開日時 2017/11/30 03:50
日本医師会の横倉義武会長は11月29日の会見で、安倍首相が春闘で3%の賃上げを企業側に求めることを引き合いに、診療報酬本体1.4%以上のプラス改定を勝ち取る姿勢を鮮明にした。横倉会長は、「他の産業が賃上げを行う中で、全就業者の11.4%を占める医療従事者に適切な手当てを行い、アベノミクスから取り残されないにしないといけない」との考えを表明。医療従事者に賃上げを当てはめると、医療費ベースで6300億円、国費で1600億円、診療報酬改定率で1.4%相当との試算を示した。一方、この日の財務省財政制度等審議会では、榊原会長が診療報酬ネットでのマイナス改定に加え、本体にも切り込むことを麻生財務相に念押しした。年末の予算編成に向けて攻防が激化することになる。
◎「地域に必要な医療を提供する財源を確保することは当然」横倉会長
「診療報酬改定は時代を反映してあるべき姿へ是正していくものだ。2018年度は、各都道府県で策定された地域医療構想が実行に移され、2025年に向けて新たな医療提供体制に踏み出す。こうした姿に寄り添う診療報酬改定でなくてはならない」-。横倉会長は会見でこう述べた。
人生100年時代ともいわれる超高齢社会を迎える日本では、地域包括ケアシステム構築へと動き出す。2018年度は、診療報酬・介護報酬の同時改定に加え、障害福祉サービス等報酬改定のトリプル改定の年となる。新たな医療提供体制を構築する分水嶺の年となる。横倉会長は、「かかりつけ医が中心となって、人生の生と死に寄り添い続けていくことが人生100年時代に必要な医療の在り方だ」との考えを表明。「薬価改定財源のみならず、地域における必要な医療を提供する財源を確保することは当然のことと言える」と続けた。
薬価財源の議論が先行する状況に釘をさす一幕もあった。薬価の引下げに加え、財源としては、たばこ税の引上げや企業の内部留保金などを活用する考えも示した。
なお、診療報酬ネットについては、薬価財源などが決まっていないことなどから、この日の会見では言及しなかった。