田辺三菱・17年度第2四半期 国内医療用薬3.5%増収 シンポニー予想以上の伸び カナグル計画届かず
公開日時 2017/11/02 03:50
田辺三菱製薬は11月1日、2018年3月期(17年度)第2四半期(4~9月)決算を発表し、国内医療用薬売上は、関節リウマチなどに用いる生物製剤シンポニーが当初予想以上の伸びとなったことなどにより1572億9900万円、前年同期と比べ3.5%増となった。2型糖尿病に用いるDPP-4阻害薬テネリア、SGLT2阻害薬カナグルも増収に貢献したが、カナグルは当初予想を下回った。
シンポニーの売上は計画を13億円上回る153億円(前年同期より25.8%増)だった。通期もそのまま推移し、290億円の予想を303億円(同21.9%増)に引き上げた。同剤については、ヤンセンとの共同販売のスキームを共同販促(コ・プロ)に変更し、流通を田辺三菱に一本化しており、コ・プロの相乗効果を、伸長の一因に挙げている。関節リウマチに対して作用が異なるシンポニーとレミケードで治療提案できることに加え、レミケードなどからの切り替えも進んだ。炎症性腸疾患においてレミケード、シンポニーに加え、ヤンセンのステラーラでもコ・プロをしており、販売拡大に拍車をかけた。石崎芳昭営業本部長は、関節リウマチ領域と炎症性腸疾患の領域で「ヤンセンとのコ・プロによりさらに拡大できるものと期待している」と述べた。
カナグル、下期にストレッチ 配合剤カナリアとの相乗効果にも期待
カナグルの売上は当初予想を3億円下回る26億円(同76.6%増)だったが、通期予想は69億円(同99.0%増)に据え置き、下期にストレッチする格好となった。石崎営業本部長は会見で、安全性データが蓄積され処方拡大の動きが出てきているほか、カナグルとテネリアの配合剤カナリアを9月に発売したことで、前投与としてカナグルを処方するケースも増えていることを挙げ「(計画は)チャレンジングだが、達成したい」と話した。国内医療用薬の通期売上は、ワクチン類の減収や後発医薬品事業のニプロへの譲渡はあるが、3154億円、0.4%増を見込む。
海外を含む業績全体では、国内事業の伸長やALS治療薬ラジカヴァの発売も加わったことで増収となったが、ラジカヴァの販売活動費や研究開発の増加などで減益となった。通期は海外ロイヤリティが減る見通しであるものの増収減益を見込む。
【17年度中間期の連結業績(前年同期比) 17年度予想(前年同期比)】
売上高 2133億5600万円(4.5%増) 4330億円(2.1%増)(修正前4410億円)
営業利益 368億5700万円(22.9%減) 810億円(13.9%減)(修正前900億円)
親会社帰属純利益 298億2800万円(17.8%減) 635億円(10.9%減)(修正前715億円)
※16年度から国際財務報告基準(IFRS)で開示
【17年度中間期の主要製品国内売上高(前年同期実績) 17年度予想、億円】
レミケード 329(338)647
シンポニー 153(121)303(修正前290)
タリオン 79(74)208
テネリア 93(80)191
レクサプロ 62(55)129
セレジスト 56(64)108
メインテート 55(61)102
カナグル 26(15)69
クレメジン 33(39)66
ラジカット 29(30)62
イムセラ 24(24)51
ウルソ 27(32)50
ワクチン計 144(165)361(修正前391)
インフルエンザ 11(25)100(修正前141)
テトラビック 44(50)92
ミールビック 29(32)52
水痘ワクチン 27(28)57
田辺製薬販売取扱品 66(68)69
ロイヤリティ収入等 396(385)802(修正前874)
ジレニア ロイヤリティ 294(275)非開示
インヴォカナ ロイヤリティ 72(90)非開示
※田辺製薬販売は10月1日にニプロ社に事業譲渡