厚労省・偽造薬流通防止検討会 適正な流通・取引確保策の検討開始 GDPのルール化など
公開日時 2017/10/20 03:50
厚労省医薬・生活衛生局の「医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会」は10月19日、製造から販売までの全般的な適正な医薬品流通・取引の確保策について検討を始めた。製造から販売までの流通上の品質確保の手順などを定め、偽造薬防止策にもなっている国際的な基準「医薬品の適正流通基準」(GDP)ガイドラインの全般の国内導入などを取り上げ、早ければ年内に、対策の方向性を示す最終とりまとめを行う。その内容を踏まえ同省は、時期は明確にしていないが、法令改正など規制への反映を目指す。
同検討会は、C型肝炎治療薬ハーボニーの偽造品流通問題を受け設置されたもので、6月の中間とりまとめを踏まえ同省は、関係省令の改正をまとめ、10月5日に公布し、再発防止策を打った。省令改正を受け同省は、「監視指導ガイドライン」を改正し、省令改正事項について重点的な監視を都道府県で行う方針。19日の会合は、中間とりまとめで引き続き検討するよう求められていた課題を検討するため再開したもので、製造から販売までの全般にわたり、偽造品が入り込まない適正な流通・取引の確保策を今後検討していく。宮本真司医薬・生活衛生局長は冒頭のあいさつで、「厚労省としては、意見をいただき、偽造医薬品の流通防止のため、流通過程における品質確保など、さらなる対応を含め検討したい」と話した。
検討会では、▽GDPガイドラインの全般に対応する国内ルール▽卸売販売業者の許可基準の見直し▽他の薬局などへの医薬品の販売・授与を業務の中心としている業態の位置づけ▽薬局開設者の責務▽医薬品の封かん方法の見直し――を重点に検討する。
GDPについては、取引相手の身分など適格性の確認を含む譲受・譲渡記録の厳格化など一部内容は改正省令や関連通知に盛り込まれたが、全般についてどうルール化を図るかを検討する。国内導入に向けては厚労省の研究班が詳細に検討しており、経営陣に対する要求事項、GDP責任者の資格、分割販売の扱い、温度管理などが課題と指摘している。検討会ではルールの方向性を示すにとどめる方向で、項目の詳細は研究班での検討になるとみられる。どうルール化するかについて同省は明確にしていない。
卸売販売業の許可基準の見直しは、営業所の構造設備と原則薬剤師による管理を定めているだけの現行基準に、医薬品の適正管理など現在遵守事項にある規定の一部を許可基準に加えることが課題に挙がっている。薬機法改正が必要となるが、規制を守れない業者に対し、行政指導だけでなく、業許可の取り消しもできるようにすることを検討する。
薬局開設者の責務については、偽造品流通問題では当該薬局の業務停止と管理薬剤師の変更命令を行ったものの、開設者については明確な法的対応ができなかったことから、管理薬剤師との責務と合わせて、あり方を検討する。
封かん方法の見直しは、偽造品がボトルで流通したことを受けたもので、開封後は容易に原状回復できない方法を検討する。