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田辺三菱・三津家社長 薬価の高騰は医療保険制度の持続性損なう AI等で研究開発コスト抑制に着手

公開日時 2017/10/03 03:50

田辺三菱製薬の三津家正之社長は10月2日、東京都内で行った同社主催の講演会で、高薬価の医薬品の出現に触れ「価格が、医療保険制度にとってサステナビリティ(持続可能性)を欠いている」と指摘し、企業側には社会に受け入れられる価格にしていく取り組みが必要だと強調した。その方策として研究開発の効率化・コスト抑制を挙げた。同社としてAIによる治験デザイン案の作成支援など、AI等の新技術導入の取り組みに着手したことを明かし、それによりスピードアップ、成功確率の向上を図りたいとした。

三津家社長は、1新薬の研究開発コストがかつての1000億円台から今や2500億円超と増嵩していることを挙げ「医薬品は開発期間が長い、コストは高いと、そうやって価格を正当化しようとしてきた。しかし、ここまで高騰すると、今やその議論は受け入れられなくなっている。価格が、医療保険制度にとってサステナビリティを欠いている」との認識を示した。価格を社会的に受け入れ可能な水準にいるための方策の一つとして、研究開発コストの抑制を挙げ、「いかに開発コストを世の中に受け入れられるところまで引き下げるのかは、本当に大きな課題。これは我々の事業のサステナビリティに関わってくる」と述べた。

開発コストの引き下げの具体的な手法としては、合成、毒性・薬効等の評価、治験デザイン案の作成支援にAIの活用を検討し始めたことを紹介。さらに、臨床評価について▽関節リウマチや多発性硬化症の患者に対し、画像解析技術を用い歩行姿勢測定により評価する▽中枢神経系疾患の患者に対し、顔認識技術を用い表情の変化により評価する――など、新技術を用いて「定量評価にどう結び付けていくか、パートナーの企業と取り組もうと考えている」という。

また、既存化合物にデバイスを組み合わせることで、より安価でより高い価値を提供する取り組みも紹介した。経口抗パーキンソン病薬として知られるレボドパ/カルビドパを液剤化、携帯ポンプにより24時間持続的に皮下注射する製剤で、レボドパの血中濃度を一定にコントロールし、運動症状の改善を期待する。7月に買収すると発表したニューロダーム社(イスラエル)が開発している「ND0612」で、欧米でフェーズ3段階にあり、2019年度の上市を見込む。

この講演は、1000名を超える従業員が参加して行われた田辺三菱製薬発足10周年記念シンポジウムで、「新たな価値創造に向けた田辺三菱製薬の挑戦-ココロ、カラダ、シャカイの充実を目指して-」をテーマに話したもの。健康寿命の延伸に向けては、注力している「疾患の治療・予防」に加え、安心して治療を受けられるようにする「こころの自己充実感」、治療負担の軽減、社会活動支援などによる「社会活動の活発化」の3点が不可欠だとし、これらに対し「製品+サービスを通じて提供していかなければならないだろう」と呼びかけた。

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