米FDA AML治療薬Idhifaを承認
公開日時 2017/08/03 03:50
米食品医薬品局(FDA)は8月1日、米セルジーン社の急性骨髄性白血病(AML)治療薬Idhifa(enasidenib)を承認した。またFDAは同日、同剤のコンパニオン診断薬(CoDx)である、アボットラボラトリーズ社のThe RealTime IDH2 Assayを承認した。
同剤の有効性は、199例のIDH2変異を持つ再発もしくは難治性AML患者を対象にシングルアームで実施された。6か月間の治療期間で、完全寛解(CR)が19%(寛解維持の期間:中間値8.2か月)、部分的血液学的回復を伴う完全寛解が(CRh)4%(中間値9.6か月)、試験開始時に輸血を必要とした157例のうち、同剤による治療後、34%は輸血が不要となった。
主な副作用は、悪心、嘔吐、下痢、ビリルビン値上昇、食欲減退など。また、同剤のラベルでは、枠組み警告として、分化症候群の発現について記載された。分化症候群の症状は、発熱、呼吸困難、放射線学的肺浸潤、体重減少、末梢浮腫、肝不全、腎不全、および多臓器不全などが発現する可能性がある。分化症候群は直ちに治療を開始しないと致命的となる。
AMLには、イソクエン酸脱水素酵素1(IDH1)および2(IDH2)遺伝子変異が関与するものがあるが、Idhifaは、IDH2変異酵素の活性を阻害することで、AML腫瘍細胞の成長を抑制する。The RealTime IDH2 Assayは、患者の血液および骨髄サンプルからIDH2遺伝子変異を検出する。IDH2遺伝子変異が検出された患者は同剤の投与適格患者となり、薬剤とそのCoDxが同時承認された個別化医療の具体例となった。
米国立がん研究所(NCI)は、米国内で今年、2万1380人が新たにAMLと診断され、1万590人がAMLで死亡すると見込んでいる。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur血液・腫瘍製品部長代理は、「Idhifaは、IDH2の変異を持つ再発もしくは難治性AML患者のアンメットニーズを満たす標的療法である」と指摘したうえで、「同剤の使用によって、一部の患者には完全寛解ならびに赤血球、血小板輸血の必要性の減少に関係があることが示された」と同剤のメリットを説明した。同剤は、FDAから優先審査ならびに希少疾病薬の指定を受けた。