米FDA 遅発性ジスキネジア治療薬Ingrezzaを承認
公開日時 2017/04/18 03:50
米食品医薬品局(FDA)は4月11日、米Neurocrine Biosciences社(本社:カリフォルニア州サンディエゴ)の遅発性ジスキネジア治療薬Ingrezza(バルベナジン)カプセルを承認した。
適応は、成人における遅発性ジスキネジアで、同疾患に対してはFDA初の承認薬である。Ingrezzaは、VMAT2(小胞モノアミン輸送体2)阻害剤と呼ばれる薬剤である。VMAT2阻害剤は、シナプス小胞へのドパミンなど神経伝達物質の取り込みを減少させ、不随意運動に関与するドパミン神経系を正常に機能させる。
Ingrezzaは、画期的新薬指定(BTD)ほか優先審査および迅速審査の指定を受けた。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のMicthel Mathis精神医学製品部長は、「遅発性ジスキネジアは患者に障害を与えるばかりでなく、精神疾患患者とのレッテルを張ってしまう恐れもある」と述べたうえで、「同疾患の最初の薬剤を承認することは、この疾患に悩む患者にとって重要な進歩である」と同剤登場を歓迎した。
Ingrezzaには、QT延長および眠気などの重篤な副作用発現の可能性がある。先天性QT延長症候群の患者もしくはQT延長による心拍の異常を持つ患者には禁忌である。また、眠気を催す恐れがあるので、同剤服用中は自動車の運転や機械の操作は禁じられている。
Neurocrine Biosciences社のKevinGormanCEOは、「遅発性ジスキネジアによる悪影響はしばしば患者に孤独や取り残された思いを感じさせることだ。Ingrezzaの承認は、以前は少ししかなかった望みがなかったところに意義ある治療を提供することで患者やケアをする人にとっての転換点となるものである」と述べたうえで、「Neurocrine社は、過去20年間、十分な治療を受けていない患者集団でのコントロールが困難な疾患の治療法を開発することに専念してきた」とコメントした。
国内では、同剤について、田辺三菱製薬が2015年3月31日付でNeurocrine社から日本およびアジアにおける独占的開発・販売権を取得する契約を締結している。
遅発性ジスキネジアは、顎、口唇、舌などの反復する不随意運動に特徴づけられる。患者によっては、四肢の不随意運動や呼吸困難を招来する場合もある。