独ベーリンガー 2016年売上高は前年比7.3%増 特許切れスピリーバをプラザキサ、トラゼンタでカバー
公開日時 2017/04/07 03:50
独ベーリンガーインゲルハイムは4月5日、ドイツ、インゲルハイムの本社で行った年次業績発表で、2016年の売上高は昨年比7.3%増(現地通貨ベース)の159億ユーロに達したと報告した。日本の売上高は21億2700万ユーロだった。(独インゲルハイム発:森永知美)
全体の営業利益は29億ユーロで、昨年比26.6%増だった。これはアッヴィとの免疫疾患領域における共同開発提携に伴い、同社からの支払いが大きく影響している。
売上全体の76%を占める処方薬部門は120億ユーロで7.4%増加した。主力製品の長時間作用性吸入気管支拡張剤「スピリーバ」(一般名:チオトロピウム)がEU市場での特許切れにより14.9%減少し30億ユーロに留まった。しかし、抗凝固薬プラザキサ(一般名:ダビガトラン、14億ユーロ、6.8%増)や、血糖降下薬トラゼンタ(一般名:リナグリプチン、11億ユーロ、23.1%増、Jentaduetoを含む)、特発性肺線維症(IPF)治療薬のオフェブ(一般名:ニンテダニブ、6億ユーロ、106.4%増)などが増加し部門全体を押し上げた。
同社は、自社のコンシューマーヘルスケア事業とサノフィの動物用医薬品事業との事業交換契約を、今年1月に完了した。これにより、同社は動物用医薬品事業で世界第2位の売上規模となる。今後は、医療医薬品事業と動物用医薬品事業、バイオ医薬品受託生産事業の3事業に注力していくという。
医療医薬品事業では、呼吸器疾患と心血管代謝疾患、腫瘍、中枢神経系疾患、免疫疾患の領域を中心に、引き続き開発活動を積極的に行っていく。中期的には、糖尿病治療薬でSGLT2阻害薬ジャディアンス(一般名:エンパグリフロジン)の慢性心不全(糖尿病を有無問わず)に対する有効性や、オフェブの中皮腫に対する有効性を検討中であるという。
2016年の研究開発費は31億ユーロで4%増だった。Hubertus Von Baumbach取締役会長は「研究開発に対する我々のコミットメントは、事業戦略の重要な柱である」と強調した。