米FDA 多発性硬化症治療薬Ocrevusを承認
公開日時 2017/04/04 03:50
米食品医薬品局(FDA)は3月29日、米Genentech Inc社(スイス・ロシュ子会社)の多発性硬化症治療薬Ocrevus(オクレリズマブ)を承認した。同剤は、CD20陽性B細胞を特異的に標的とするヒト化抗体。適応は、成人における再発型多発性硬化症(MS)および一次進行型多発性硬化症(PPMS)。PPMSの適応を持つ薬剤としては、FDA初の承認薬である。同剤の剤型は点滴静脈注射剤で、6か月ごと投与である。
オクレリズマブは、画期的新薬指定(BTD)ならびに優先審査および迅速審査の指定を受けた。米国疾病管理予防センター(CDC)によると、MS患者の約15%がPPMSだという。
同剤は、B型肝炎患者および同剤投与後、重篤な注射反応の発症歴のある患者には禁忌となっている。また、特に乳がんを含む悪性腫瘍発現の可能性を持つので注意が喚起されている。さらに、生ワクチンもしくは弱毒生ワクチンを接種している患者には推奨されない。このほか、臨床試験でよく見られた副作用として、上部気管感染症、皮膚感染症、下部気管感染症などが上げられている。
同剤の調剤時には、同剤のリスク・ベネフィットを記述した患者用メディケーションガイドの配布が義務付けられた。
Genentech社のSandra Horning最高科学責任者(CMO)兼グローバル製品開発部長は、「Ocrevusの承認は、MSコミュニティにおける新時代の始まり並びにファースト・イン・クラスB細胞標的療法という意義ある科学的進歩を示すもの」と述べたうえで、「我々は、6か月ごとのOcrevusの投与がMS患者の疾患経過を変える可能性を持つと信じている」とコメントした。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のBilly Dunn神経製品部長は、「MSは人の人生に大きなインパクトをもたらす」と指摘したうえで、「本薬剤は再発型MS患者に新たな治療オプションを提供するばかりでなく、初めてPPMS患者に承認された治療法を提供することになる」と同剤の登場を歓迎した。