日医・横倉会長 毎年薬価改定「乖離率が一定幅以上の医薬品」を容認
公開日時 2016/12/15 03:50
日本医師会の横倉義武会長は12月14日の定例会見で、薬価の毎年改定について「すべての医薬品を対象とするのではなく、乖離率が一定幅以上の製品を見直すという方針について、一定の理解はできる」と述べ、容認する考えを示した。これまで、医療機関や医薬品卸の負担増加への懸念などから、薬価の毎年改定については「容認できない」としてきた姿勢を緩和した。一方で、薬価引下げ財源については、「本体改定財源にきちんと充足して活用すべき」と主張した。2017年2月の抗がん剤・オプジーボの薬価引下げ、2019年10月の消費増税に伴い、実質的に2017~20年まで薬価の毎年改定が行われることになる。横倉会長は、「一番大事なのは、技術料を2年の1度の診療報酬改定できちんと引き上げていくこと」と述べ、技術料引上げを求めていく姿勢を強調した。
抗がん剤・オプジーボに端を発した薬価制度改革の議論は中医協だけでなく、政府まで巻き込んで議論が進められてきた。政府は、年内にも薬価制度抜本改革の基本方針を取りまとめるが、経済財政諮問会議の場を中心に官邸主導で進んできた。横倉会長は、「従来薬価というものは中医協で診療報酬と切り離さずに議論してきた。診療報酬とは切り離したところで現在は議論が進められており、大変問題がある」と問題意識を示した。議論の場も「薬価についてはまさに中医協で議論すべきもの」であるとの考えを改めて示した。
その上で横倉会長は、薬価引下げ財源の診療報酬への充足することは、1972年で中医協が建議をまとめて以降、歴代政権の中でも、薬価財源は診療報酬に充当する方針が脈々と受け継がれてきたと説明。健康保険法でも薬剤と診療は不可分一体となっているなどと説明した。
診療報酬の技術料には、医師、看護師等医療従事者の人件費だけでなく医療経営の原資を司る設備管理費、ランニングコスト、医療機器、機材費なども含まれていることも説明。総医療費に占める人件費の割合が低下を続けていることも指摘し、「医療分野は雇用誘発効果が高く、医療従事者の比率が高い地方では経済の活性化に多大な貢献をしている。それを支えているのが診療報酬の技術料だ」と述べ、技術料に財源を充足する必要性を強調した。