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政府・与党 社会保障費の圧縮幅1400億円下振れ視野に調整 2017年度予算編成

公開日時 2016/10/24 03:53

政府・与党は、2017年度予算編成で焦点の社会保障費の自然増圧縮額について、財務省が求める1400億円を下振れさせる方向で調整に入った。圧縮額を800億~1100億円程度に収められるかどうかで調整が進んでいる。ただ一方で、財源確保の筆頭にオプジーボなど高額薬剤の薬価臨時引下げを断行することについては政府・与党内のコンセンサスがほぼ得られている。10月21日に開かれた政府の経済財政諮問会議でもオプジーボ以外の新薬で、今後社会保障費の増加要因になり得る新薬にまで対象範囲を拡大し、薬価引下げのルール化を求める声もあがった。17年度の臨時改定、18年度の通常改定、19年度の消費税増税(2%)改定、20年度の通常改定と、製薬業界は毎年のように薬価改定論議に晒されることになる。


政府は、2016年度から19年度までの3年間で社会保障費の自然増を1兆5000億円に抑制することを求めており、単年度でならすと5000億円への圧縮を目指すことになる。このため17年度予算編成に際して財務省は、社会保障費の自然増を6400億円から5000億円に圧縮するとしており、その差額分の1400億円を、昨年12月に閣議決定した「経済・財政再生計画改革工程表」に示された医療保険制度関係の改革7項目の実現やオプジーボなど高額薬剤の薬価臨時引下げなどで賄う方針を示している。


◎高齢者の負担増に慎重論 政局との絡みも


政府・与党内には、これまでの改革を通じ、社会保障費の効率化の影響が出始めたとの見方もある。16年度予算編成も同様に、社会保障費の自然増6700億円を5000億円に圧縮するとして、1700億円分の財源見合いの改革を行った。C型肝炎治療薬など市場規模の大きな薬剤に特例拡大再算定を導入し、大幅に薬価を引下げたことは記憶に新しい。実際に、16年度予算編成の財政効果をみると、16年度の自然増は4997億円だが、子育て世帯臨時特例給付金など一時的な費用を除くと社会保障費の自然増は4412億円で、当初予定した5000億円を結果的に深堀したとみることもできる。20日に都内で講演した自民党社会保障制度に関する特命委員会の田村憲久委員長代理(元厚労相)は、「(自然増圧縮額は)1400億円とは言わないが、それを目途にどうやって抑えていくか」と述べ、自然増の圧縮額を含めて政府・与党間で調整に入ったことを示唆した。


政局も年内解散の風が吹きだしたことに加え、介護保険をめぐる高齢者の負担増への慎重論も日増しに強まっている。与党内からは1400億円の圧縮を単年度ベースで行うことに対して慎重な意見もあり、一部には16年度予算編成で行った改革内容の検証を行い、仮に深堀した部分が存在するのであれば17年度予算編成で考慮するなどの意見も見られている。


◎厚労省は現行改革路線を堅持 今週26日の社保審医療保険部会で審議



なお、厚労省側は17年度予算編成に向け、現在の改革路線を踏襲し、さらなる適正化を進める方針だ。特に焦点の医療保険制度関係では、①高額療養費の見直し、②後期高齢者の保険料軽減特例(予算措置)の見直し、③入院時の光熱水費相当額に係る患者負担の見直し、④子ども医療費助成に係る国保の減額調整措置の在り方、⑤金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担の在り方、⑥かかりつけ医の普及の観点からの外来時の定額負担、⑦スイッチOTC化された医療用医薬品に係る保険償還率の在り方―の7項目の検討をすすめる。


スイッチOTC化された医療用医薬品に係る保険償還率の在り方については、明後日10月26日に開かれる社会保障審議会医療保険部会での議論が予定されている。ただ、この問題については慎重論が根強いのが現状だ。改革の柱とみられる高額療養費の見直しも、70歳以上の現役並み所得(370万円以上)での負担引き上げが有力視されている。ただ、この層は1割にも満たないとみられ、財源としても100億程度にとどまるとみられている。
 

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