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米・ヒラリー大統領候補 薬価値上げ対策強化を提言

公開日時 2016/09/14 03:50

米大統領候補のヒラリー・クリントン候補は9月2日、製薬企業に対する監視強化や関係機関で構成する薬価対策委員会の設置など薬価値上げ対策の提言を行った。米・マイラン社がアナフィラキシー補助治療薬EpiPen(日本製品名:エピペン、一般名:エピネフリン)の薬価を数年間で約5倍にしたことが明らかになったことを受けたもの(本誌既報、記事はこちら)。

ヒラリー候補は、トキソプラズマ治療薬pyrimethamineの価格を数十倍にしたTuring Pharma社や上記Mylan社を名指しし、これら一部企業は競合品がないことを利用、意図的に値上げをしていると断定。患者優先ではなく利益重視に走っていることを非難した。しかし、一般的には、米国の製薬・バイオ企業は米国のイノベーションと革新的治療の素晴らしいリソースであると高く評価した。そのような業界の評価を落とさないという観点からも、一部の企業による不当な薬価から消費者を保護するために対策が必要であることを改めて強調した。


ヒラリー候補は、下記の主な政策を提言した

▽長期にわたり販売されているものの異常に高額な薬剤については、①代替品の市場参入と競争を促進するために代替品企業に直接介入を行い支援する、②安全で高品質の代替品へのアクセスを拡大するために厳格な基準のある開発途上国からの緊急輸入の実施、③不当な値上げをした製薬企業にはその理由の説明責任を果たすように罰金などペナルティを課す――。

▽消費者保護の観点から、異常な価格値上げの監視や対応を目的に、公衆衛生、消費者安全及び公正競争確保を担当する政府機関の代表者で構成する薬価対策委員会を設置する。同委員会は、患者団体や非政府機関の専門家らと密接に連携する。また、調査権限や強制力を持たせ、地方行政機関とも協力し調査などを行う。具体的な監視では、価格上昇の軌道や範囲、生産コストの変化、患者への価値の変化などに注目する。

▽慢性疾患あるいは重篤な疾患の患者には、保険プランでカリフォルニア州やメイン州で実施されているように例えば1か月あたり250ドルというような自己負担の上限を設定し、患者負担の軽減を図る。 

▽後発医薬品の上市が遅れ、競争が阻害されている事態を招いているFDAの審査遅延を解消させるためにFDAジェネリック医薬品部への予算を拡充させる。

▽多くの先進国では、医療用医薬品のDTC(直接消費者向け)広告が禁止されているか、あるいは厳しく制限されている現状からみて、税制上の製薬企業によるDTC広告費の控除をなくし、政府の財源を増やし、それに充当する分は研究開発を支援する方向に使う。

 

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