受動喫煙で肺がんリスクが約1.3倍に リスク評価「ほぼ確実」から「確実」に 国がん
公開日時 2016/08/31 03:50
国立がん研究センターは8月31日、日本人の非喫煙者を対象に受動喫煙と肺がんとの関連を研究・分析したところ、受動喫煙のある人はない人に比べて肺がんのリスクが約1.3倍になることがわかったと発表した。この分析は複数の論文を統合、解析するメタアナリシス研究によるもの。適用基準を満たした9本の論文結果に基づきメタアナリシスを行った。今回、明らかになった日本人の相対リスクは、国際的なメタアナリシスの結果と同様の水準という。
日本人での受動喫煙と肺がんとの関連はこれまで、個々の研究で統計学的に有意な結果が得られず、科学的根拠に基づく受動喫煙における肺がんのリスク評価は「ほぼ確実」となっていた。ちなみに、能動喫煙における肺がんのリスク評価は最も高い「確実」となっている。
今回の研究結果を受けて同センターの研究班は、日本人の受動喫煙における肺がんのリスク評価を「確実」に引き上げるとした。さらに、がん予防のためのガイドライン「日本人のためのがん予防法」の中の表記も、これまでの「他人のたばこをできるだけ避ける」から「他人のたばこを避ける」に「できるだけ」を削除するとし、「受動喫煙の防止を努力目標から明確な目標として提示した」としている。
なお、国がんは、「受動喫煙による健康被害を公平かつ効果的に防ぐために、世界49か国(14年現在)で実施されている公共の場での屋内全面禁煙の法制化など、たばこ規制枠組条約で推奨されている受動喫煙防止策を我が国でも実施することが必要」とも指摘している。