【World Topics 短期連載】人工知能と医療・ヘルスケア (第1回)モバイルから人工知能へ
公開日時 2016/08/17 03:50
Babylon Healthは医師への診断支援サービスだけでなく、モバイル・アプリ”Check A Symptoms” の提供で、患者の自己診断支援サービスも提供しており、これによって悪評高いイギリスのプライマリ・ケア医の予約待ち行列解消にかなりの貢献ができると期待されている。(ジャーナリスト 西村由美子)
「コンピュータのトレンドはモバイルから人工知能へと移行する。普通の人の日常生活が24時間人工知能にサポートされるようになる日も遠くない」
グーグルCEOのSundar Pichalの最近の談話だ。そのPichalが「人工知能は今や人類にとってもっとも解決の難しい問題に挑戦している」として例に挙げた難問の1つが「がんの診断」であった。
米国の投資家は人工知能が医療・ヘルスケアを劇的に改善するだろうと期待している。 こうした期待を反映し、2015年には人工知能を使いこなすヘルスケア・スタートアップへのベンチャー投資が急増。(ヘルスケア×人工知能)への投資は、人工知能分野への投資総額の15%を占めるまでとなった。
◎医師の診断も患者の自己診断も支援
「医療と人工知能の相性は抜群だ」とロンドン基盤のベンチャー・キャピタルHoxton VenturesのパートナーRob Kniazは断言する。Kniazは人工知能を活用したモバイルによる診断サービス”Check A Symptoms”などの提供で医療に革命的な技術革新をもたらすと注目されているスタートアップBabylon Healthに対する投資(シリーズA: 総額$25M)に参加したばかりである。
Kniazは「医師の診断能力は信頼に値する」と言いながら、「だが、人工知能の方がすぐれている場合もある」とし、「忙しい医師はうっかり見落としをする可能性があるが、人工知能は何も見落とさない。また希少難病の同定には圧倒的に強い」と断言する。 まさに日本の医科学研究所のケースである。
Babylon Healthは医師への診断支援サービスだけでなく、モバイル・アプリ”Check A Symptoms” の提供で、患者の自己診断支援サービスも提供しており、これによって悪評高いイギリスのプライマリ・ケア医の予約待ち行列解消にかなりの貢献ができると期待されている。(続く)