米FDA がん征圧プロジェクトで新部署を設置
公開日時 2016/07/07 03:50
米食品医薬品局(FDA)は、新規がん治療法開発促進やがん征圧のために統合的に取り組むために「腫瘍学研究拠点」(The Oncology Center of Excellence:OCE)を新設する。FDAのRobert Califf長官が6月29日、声明を発表した。これは、Joe Biden副大統領が昨年、提唱した、がん征圧国家プロジェクト「National Cancer Moonshot Initiative」の一環である。
プロジェクトでは、FDAに医薬品・生物製剤および医療機器についての規制科学者(レギュラトリー・サイエンティスト)や審査官を適切に活用し、がん征圧に取り組むよう求めていたが、それに具体的に応えた形がOCE設置である。OCEでは、新規がん治療法開発の促進やがん征圧への統合的取り組みの支援などを行う。
Califf長官は、OCEが国家プロジェクトの中心となるとの緊張感を持って、FDA各センターの日常業務に支障を来すことなくOCE設置を急ぐことが最善の方法との考えに基づいたと新部署設置の経緯を話した。併せて、OCEの責任者であるセンター長は内部から人選したとし、医薬品評価研究センター(CDER)腫瘍製品部長のRichard Pazdur博士をOCEセンター長代理に任命したことを明らかにした。同部長は、FDAでがん治療薬の審査近代化など改善に努めるなど経験は約20年だという。
Califf長官は、「Pazdur博士はOCEを立ち上げ、運営させるために必要な人物だ。というのは、博士は、FDA内部を熟知し、がん治療薬についての専門知識は豊富で、複雑な業務においてFDAを前進させる能力を持っているからだ」と同博士任命の理由を説明した。
しかし、OCEを順調に軌道にのせるために、OCEの具体的設計や運営については、内外の協力を仰ぎ、内部では、CDER、生物製剤評価研究センター(CBER)および医療機器及び放射線保健センター(CDRH)の各センター長が協力する。
Moonshot Initiative は、昨年5月に長男(デラウエア州司法長官)を脳腫瘍で亡くしたBiden副大統領が、米政府のがん対策関連予算の拡充やがん研究促進などを提言し、今年1月のObama大統領の一般教書では正式にプロジェクトを発足させることを謳った。同副大統領が、同プロジェクトを月探査ロケットの打ち上げに相当する重要プロジェクトという意味でMoonshot Initiativeと名付けた。