米FDA PBC治療薬Ocalivaを承認
公開日時 2016/06/09 03:50
米食品医薬品局(FDA)は5月27日、原発性胆汁性胆管炎(PBC)治療薬Ocaliva(obeticholic acid)について、ウルソデオキシコール酸が十分な効果を示さない場合のウルソデオキシコール酸との併用、もしくはウルソデオキシコール酸に忍容性がない場合の単剤の使用で承認した。米Intercept Pharmaceuticals社(本社:ニューヨーク市)が製造する。
同剤は、胆汁酸をリガンドとする核内レセプターであるfarnesoid X受容体(FXR)作動薬。経口で投与する。肝臓での胆汁酸の産生を抑止し、肝臓における毒性レベルとなる胆汁酸による暴露を減らす。胆汁酸増加に伴う肝機能障害や肝線維化に対する治療効果が期待される。
副作用は、掻痒、疲労感、腹痛/腹部不快感、関節痛、眩暈、便秘など。ウルソデオキシコール酸は、1997年にFDAの承認を受け、PBC患者の約50%に有効だが、40%程度はアルカリホスファターゼ値あるいは総ビリルビン値が十分に低下しない。患者の5-10%程度はウルソデオキシコール酸に対する忍容性がない。このため、ウルソデオキシコール酸が有効でない患者への治療法が待たれていた。
製造するIntercept社のMark Pruzanski CEO兼社長は、ウルソデオキシコール酸に忍容性がないなどの理由で治療法が限定もしくはない患者がいると指摘。farnesoid X受容体を標的とすることが、こうした患者にベネフィットをもたらすという信念に基づいて会社が設立されたとした。同剤の「10年以上の努力の積み重ねを示す」とコメントした。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のAmy Egan医薬品評価第3部長は、「未治療、あるいはウルソデオキシコール酸の無効な患者は肝不全あるいは死のリスクを背負っている」と指摘した。その上で、「本日の承認は、唯一の既承認薬であるウルソデオキシコール酸に無効なPBC患者に重要な治療選択肢を提供する」と同剤の登場を歓迎した。
同剤は国内では、大日本住友製薬がIntercept社から導入。2016年5月11日現在、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を適応としてフェーズIIを実施中だ。また原発性胆汁性肝硬変(PBC)の適応ではフェーズII開始について検討中という。
なお、PBCは、胆管に炎症、障害あるいは破壊的な損傷を与える慢性疾患。胆汁が肝に残存、肝細胞に徐々に障害を与え、肝硬変あるいは肝臓に瘢痕をもたらす。肝硬変の進行、もしくは瘢痕組織量が増加すると肝臓は機能不全に至る。原発性胆汁性胆管炎は、原発性胆汁性肝硬変(PBC)と同じ疾患である。