米FDA 乱用防止オピオイドGEのガイダンス案を発表
公開日時 2016/03/30 03:50
米食品医薬品(FDA)は3月24日、オピオイド製剤乱用の社会問題化を受け、製薬企業向けに乱用防止製剤(ADF)としてのオピオイド製剤ジェネリック医薬品(GE)開発ガイダンス案を発表した。
乱用防止製剤は、従来のオピオイド製剤では、経口剤を崩壊させて溶解し注射する、経鼻で吸入するなどの乱用が行えるが、その行為を防止するための工夫がしてある製剤を指す。
先発品の乱用防止製剤としてオピオイド製剤については、2015年4月に、「乱用防止オピオイド―評価とラベリング」(Abuse-Deterrent Opioids-Evaluation and Labelling)と題する最終ガイダンスを公表、当該製剤がオピオイドの乱用防止をする能力があるか否かを試験する場合に求められる要件などを指針として示した。
これに対し、オピオイド製剤GEについては開発ガイダンスがないため、乱用防止の片手落ちとなっているのが現状で、オピオイドGEの乱用防止製剤開発ガイダンス策定が急がれていた。ただ、乱用防止製剤の試験を別途実施するなど開発に経費をかけられないGE企業には難しい面もある。そのため、FDAは、オピオイドの乱用を防止することと患者に安価なオピオイドへのアクセスを促進することのバランスをとりながら進める方針を固めた。
今回の「後発固形経口オピオイド医薬品の乱用防止評価のための一般原則」(General Principles for Evaluating the Abuse Deterrence of Generic Solid Oral Opioid Drug Products)と題するガイダンス案では、先発品のガイダンスで要求された要件のほかに、特に乱用手段で想定されるあらゆる投与経路を考慮、GEが先発品の乱用防止製剤よりもその工夫において劣っていないことを示す試験の実施などが求められた。
FDAのRobert Califf長官は、「ひどい疼痛に悩む数百万人の米国人とヘルスケアシステムにとって、オピオイドのGEは適正な、かつ、安価な選択肢である」とオピオイドGEの必要性を指摘した。その上で、「乱用防止技術はいまだ進化の途上にあり、オピオイド乱用と闘うための多くの戦略のうちのほんの一つに過ぎない」としながらも、「乱用防止製剤としてのオピオイドGEへのアクセスを増やすためにイノベーションを強く促すことはこの戦略での重要な要素である」と今回のガイダンス案策定の意義を話した。FDAは、同案について同日から60日間意見募集を行う。