日本リリー・15年業績 売上2359億円、13%増 MRは100人超増員へ
公開日時 2016/03/25 03:51
日本イーライリリーが3月24日に発表した2015年(1~12月)業績では、最主力品の抗精神病薬ジプレキサをはじめ主力品の売上増により売上高は2359億円、13%増だった(決算ベース)。16年は、抗体医薬で乾癬治療薬イキセキズマブ、抗がん剤サイラムザの非小細胞肺がん、大腸がんの適応拡大の承認が想定され、さらなる成長を見込む。MR体制も14年、15年と各年約200人の増員し、15年には2000人体制を敷いた同社だが、16年は100人超の増員を図るという。
成長をけん引したのは、骨粗鬆症薬フォルテオ、ADHD治療薬ストラテラ、販売をリリーに一本化したSNRIサインバルタで、いずれも売上は2ケタの伸びだった(製品売上高は薬価ベース)。そこに15年は4つの新製品が加わり売上を押し上げた。SGLT2阻害薬ジャディアンス(発売15年2月)の売上高は開示していないが、抗がん剤サイラムザ(同6月)は70億円、バイオ後続品インスリングラルギン「リリー」(同8月)は7億円、GLP-1受容体作動薬トルリシティ(同7月)は2億円だった。
■ジョンソン社長 情報提供活動の多角化推進 メディカル、eディテールの活用必要
パトリック・ジョンソン社長(写真)は同日、都内で行った発表会見で、MRの増員について、イキセキズマブによる皮膚科領域への参入や新製品の上市などで必要性があるとして「2016年も採用を続けていきたい」と述べた。具体的な増員数や今後の方針は明らかにしなかったが、同社によると16年も「3ケタ」の規模だとし、100人超であることを示唆した。一方、同社長は「(MR以外の)他の能力の構築も必要」と述べ、eディテールなどの活用による情報の迅速提供、メディカル職による医師へのアプローチを例に挙げ、情報活動を多角的に推進する姿勢を改めて示した。
20年に女性管理職比率30%以上 営業部門での登用「加速する」
同社長は会見で、ダイバーシティにも触れ、2020年までに女性管理職比率30%以上を目指し、取り組んでいることを明らかにした。15年現在は20%で、営業部門では10%程度と低い。そのため同社長は、エリアのマネジャーを含め女性の登用を「加速していく」との意向を明らかにした。会見終了後、本誌に「長時間勤務を要するような営業リーダー職は、若い人材に魅力的にうつらない」と話し、ワークライフバランスを重視した働き方に向けて取り組みを継続し、さらなる浸透を図る考えを示した。
主な製品別売上高は以下のとおり(薬価ベース:IMS1~12月)。
ジプレキサ(抗精神病薬)612億円(2.1%増)
フォルテオ(骨粗鬆症治療薬)536億円(11.7%増)
アリムタ(抗がん剤)381億円(3.1%増)
サインバルタ (抗うつ薬)304億円(69.8%増)
エビスタ(骨粗鬆症治療薬)203億円(1.0%減)
ストラテラ(ADHD治療薬)183億円(31.8%増)
インスリン(糖尿病)172億円(1.3%減)
ヒューマトロープ(糖尿病)99億円(2.4%減)
サイラムザ(抗がん剤)70億円(-)
ジェムザール(抗がん剤)50億円(17.6%減)
ザルティア(排尿障害改善薬)48億円(306.3%増)
インスリングラルギン「リリー」(糖尿病)7億円(-)
トルリシティ(糖尿病)2億円(-)
<訂正>(3月25日12時55分)
下線部の製品名が誤っておりました。訂正しました。