米FDA 希少疾病の自然史研究に200万ドル助成へ
公開日時 2016/03/03 03:50
米食品医薬品局(FDA)は、希少疾病の自然史(自然経過)研究データを収集し、それを希少疾病薬の開発に反映させる目的で、自然史の研究に200万ドルを助成する。FDAが、2月29日発表した。
自然史は、一定の疾患を持つ患者において、発症前から発症、各病期を経て、治癒や死亡など最終的な転機(アウトカム)に至るまでの疾患の進展過程である。しかし、希少疾病の発症・進展の自然史には未知の部分が多いため、治療薬の開発が困難を来す場合も多いため、その解明が急がれている。そのため、FDAは今回、既存の希少疾病薬開発促進を目的とした「希少疾病薬製品助成金」(Orphan Products Grants Program)を通して、自然史に焦点を当てた研究に助成金を出すことを決めた。
FDAのGayatri Rao希少疾病薬製品開発部長は、「希少疾病はしばしばあまり良く理解されていない」と指摘したうえで、「希少疾病の進展について理解されていなことがしばしば救命製品開発の障害となっている。希少疾患の自然史についての情報が、臨床試験デザインや試験のエンドポイントの確定など、より速く、かつ効率的な試験を行う助けになり、新規の有効な診断法及び治療法の開発に結び付けることになる」と自然史研究の重要性を強調した。
さらに、Rao部長は、2月29日が「国際希少疾患の日」であることから、「患者アドボカシーグループがこのような自然史研究に資金を供出することは難しかった。我々は、この橋渡しができることにエキサイトしている」と助成金拠出の意義を話した。
なお、「希少疾病薬製品助成金」では、1983年以降、3億5000万ドル以上が570件の臨床試験に助成され、55製品以上の承認に結び付いている。助成金の申請締め切りは2016年10月14日で、2017年3月から実際に交付される予定。
米国での希少疾病の定義は、患者数20万人以下とされており、7000種に上る希少疾病があるとされている。罹患者総数は約3000万人に達するという。