中外・15年通期決算 主力品好調で国内製品売上は8.2%増 16年は薬価改定などで2桁減益予想
公開日時 2016/01/29 03:50
中外製薬が1月28日に発表した2015年12月期(1~12月)決算は、がん、骨・関節領域の主力品が好調で国内製品売上高は3780億円、8.2%増だった。がん領域では、アバスチン、ハーセプチン等のHER2ファミリー、リツキサンがいずれも2桁増収だったことなどが寄与し、がん領域売上は2157億円と2000億円を突破した。しかし16年予想では、巨額再算定を受ける最主力品のアバスチンをはじめとする薬価改定の影響などで、通期営業利益は21.7%減、約200億円減らす見通しを示した。
国内製品売上の6割を占めるがん領域製品と、骨、関節領域製品がともに2桁増収だったことが、国内業績を支えた。がん領域で最も売上高の大きいアバスチンは938億円、14.0%増。さらに乳がん治療薬ハーセプチンほか、パージェタ、カドサイラを加えたHER2フランチャイズが506億円、14.0%増、リツキサンも290億円、10.7%増と大きく伸長したことが、同領域全体で14.2%の成長へ導いた。
骨・関節領域は794億円、14.1%増だった。関節リウマチなどに用いるアクテムラ、骨粗鬆治療薬エディロール、同治療薬の新製品ボンビバの2桁増が押し上げた。
腎領域は、ミルセラの5.3%の伸びなどで、領域全体では1.6%の増収を確保。移植・免疫・感染症領域では、C型肝炎のインタフェロンフリー療法の新薬参入などの影響で、ペグインターフェロン製剤ペガシスが72.9%の減収が響き、領域全体では23.6%減となった。
16年業績予想(海外含む)は、薬価改定やロイヤリティ収入が減る影響、またロシュ向けのアクテムラの価格下落などで0.8%の減収、21.7%の営業減益の見込み。
【連結実績(前年同期比)16年予想】(IFRS)
売上高 4988億3900万円(8.2%増) 4950億円(0.8%減)
営業利益 906億9300万円(17.3%増) 710億円(21.7%減)
*Coreベース
【主要製品の国内売上(前年同期実績) 16年予想、億円】
がん領域 2157 (1889) 2203
アバスチン 938 ( 823) 934
ハーセプチン 327 ( 312) 349
リツキサン 290 ( 262) 329
タルセバ 116 ( 115) 125
ゼローダ 111 ( 104) 126
パージェタ 106 ( 91) 113
カドサイラ 73 ( 40) 76
アレセンサ 80 ( 14) 96
ノイトロジン 49 ( 59) 29
ゼルボラフ 5 ( -) 7
骨・関節領域 794 ( 696) 858
アクテムラ 268 ( 241) 297
エディロール 231 ( 192) 256
スベニール 105 ( 107) 95
ボンビバ 54 ( 34) 77
アルファロール 42 ( 49) 31
腎領域 454 ( 447) 408
ミルセラ 238 ( 226) 237
オキサロール 129 ( 122) 92
エポジン 59 ( 66) 53
移植・免疫・感染症領域 159 ( 208) 141
セルセプト 70 ( 65) 81
ペガシス 19 ( 70) 9
コペガス 29 ( 31) 15
その他領域 217 ( 256) 180
シグマート 52 ( 64) 40
海外 822 ( 743) 878
アクテムラ 636 ( 557) 693
ノイトロジン 148 ( 157) 131
アロキシ 3 ( -) 1
アレセンサ 5 ( -) 25
アキンゼオ 0(0) 2
タミフル 82 ( 130) 86
うち行政備蓄 0 ( 2) 10
ロイヤルティ及びその他の営業収入 304( 242) 196