「ADHD」の認知度 5割強にとどまる 一般生活者400人調査
公開日時 2015/11/17 03:50
日本イーライリリーは11月16日、一般生活者の半数近くが発達障害のひとつである「ADHD」(=注意欠陥・多動性障害)という言葉を知らないとの調査結果を発表した。ADHDの認知度は54.8%だった。16年4月に障害を理由とする差別の解消を推進する「障害者差別解消法」が施行されるなか、同社は、「(法律により)日常生活に困難を感じている当事者への社会的サポートの更なる推進が期待される」としたものの、「(調査結果から)まずはADHD自体の認知を高めることの必要性が浮き彫りになった」としている。
これは大人のADHDに関する認知度を調査するために実施されたもの。調査対象は発達障害と診断されたことのない全国の20代~60代の男女400人。調査時期は10月7日~8日。方法はインターネット調査。
ADHDを知っていると回答した219人に、大人のADHDにどのような症状があるのかを聞いた。その結果、認知度が高いトップ5は「落ち着きがない」(81.3%)、「順序立てて何かを行うのが苦手」(79.0%)、「忘れ物、なくし物が多い」(71.2%)、「仕事などでケアレスミスを頻発する」(67.6%)、「貧乏ゆすりなど目的のない動きが多い」(53.9%)――。
一方で、認知度が低いトップ5は、「衝動買いをしてしまう」(23.7%)、「おしゃべりに夢中になって家事を忘れてしまう」(34.2%)、「よく遅刻する」(40.6%)、「仕事の締め切りに間に合わない」(44.3%)、「会議中などに不用意な発言をしてしまう」(48.4%)――だった。
また、ADHDと診断された人に対する適切な対応を知っているかどうかを聞いたところ、89.5%が「知らない」と答えた。
調査を監修した東京都立小児総合医療センター顧問の市川宏伸氏は、「子どもの頃に見過ごされ、成人になって社会に出てから会社などでのミスが多発することで症状が顕在化し、結果的にうつ病や不安障害などの2次障害を患い来院されるケースが少なくない」とし、「ADHDに気付かないまま仕事や人間関係に悩み続けている当事者がよりよく生きていくために、一般の方もADHDに対する理解を深めることを期待している」とコメントしている。