日本ケミファ・山口社長 GE80%に向け「しっかり安定供給する」 50億円投じて供給量倍増へ
公開日時 2015/07/09 03:52
日本ケミファの山口一城社長は7月8日、東京本社で開いた記者懇談会で、政府が後発医薬品(以下、GE)の数量シェアを2018~20年度のできるだけ早い時期に80%以上にすると決めたことについて、「GEを扱っている立場から大変ありがたいとの気持ちと同じくらい、しっかり安定供給しなければならないとの責任感から身の引き締まる思いだ」と心境を語った。GE生産を増強する考えで、今後3年間に計50億円を投じて年間20億錠を供給できるようにする。14年6月まで年間9億錠の供給体制だったことから、「今後3~4年で2倍強の製造体制が整う」と述べた。
山口社長によると、GEの数量シェアを現在の50%強から80%に引き上げるには、GEの数量自体は現在の2倍程度が必要になるという。その上で、「数量が2倍になり、当社の製品供給も2倍強になる。(国の普及目標に対して)必要最低限の製造体制は整えられると思う」と述べた。GE80%時代に向けてGE業界の課題となっている安定供給体制の構築について、同社として対応しているとの姿勢を示した格好だ。
同社では14年6月に茨城県のつくば工場で全面免震構造の「3号棟」を新たに稼働させた。3号棟が完全稼働すると年間14億錠を供給できる。そして16年に完工予定のベトナム工場を18年に本格稼働させ、年間6億錠を供給できるようにする。また、安定供給と原価率改善に向け、「品質が良くて安い原薬の調達」(山口社長)にも重点的に取り組む。
■12月追補収載 エックスフォージ、ジェイゾロフト、カデュエットのGE投入
山口社長は、先発企業のお墨付きを与えられ、原薬や製造方法などが先発品と同じオーソライズドジェネリック(AG)について、「AGはシェア確保がかなりされており、(GEの)脅威と考えている。AGが出てくる品目は今後多くなると想定している」と述べた。対AGだけでなく、GE間の競争も一層激化すると見通し、同社として特に注力しているDPC病院のニーズを踏まえた「付加価値を付けた特色あるGE」(山口社長)を投入することで差別化していく方針を示した。
なお、同社は15年度にGEを8成分15品目投入する予定だ。6月のGE追補収載ですでに抗血小板薬クロピドグレル錠(先発品名プラビックス)など5成分8品目を発売。そして12月に予定されるGE追補収載では、降圧配合薬アムバロ配合錠(同エックスフォージ)、抗うつ薬セルトラリン錠(同ジェイゾロフト)、降圧剤と高脂血症薬の配合薬アマルエット配合錠(同カデュエット)――の3成分7品目の発売を計画している。