米FDA 乳がん治療薬Ibranceを承認
公開日時 2015/02/10 03:50
米食品医薬品局(FDA)は2月3日、米ファイザー社の分子標的抗がん剤Ibrance(一般名:palbociclib)について、ホルモン療法による治療歴のない閉経後エストロゲン受容体(ER)陽性/HER2陰性の局所進行/転移性乳がんの適応で承認した。アロマターゼ阻害薬・レトロゾールとの併用下で投与することとなる。
同剤は、がん細胞の成長に関与するサイクリン依存性キナーゼ(CDK)4および6(CDK4/6)を阻害して、がん細胞の増殖を抑える。
有効性は、ER陽性/HER2陰性の進行乳がん患者165例を対象とした臨床試験で検証された。患者は、palbociclib+レトロゾール併用群とレトロゾール単剤投与群とに無作為に割り付けられた。試験結果は、無増悪生存期間(PFS)が2剤併用群では20.2か月、レトロゾール単剤群では10.2か月だった。主な副作用は、好中球減少症、疲労感、白血球減少症、貧血、上気道感染、悪心、口内炎、脱毛、下痢、血小板減少症、食欲不振、嘔吐、無力症、末梢神経障害など。
FDAは、同剤を「画期的新薬」ならびに「迅速審査」の対象として指定。審査終了日の目標日である「ユーザーフィー・デート」の2015年4月13日よりも2か月以上前倒しで承認された。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur血液・腫瘍製品部長は、「転移性乳がんと診断された女性にとっては新規の治療選択肢となる」と同剤の登場に歓迎を示した上で、迅速承認制度の活用を進めている現況も説明した。
ファイザー社のイアン・リード(Ian Read)会長兼CEOは、「FDAの承認は、患者が必要とする重要な薬剤を提供するという我々の科学についての能力と当社が社会に果たしている貢献を強調する極めて重要なマイルストーンを示すもの」とコメントした。
米国立がん研究所(NCI)によると、2014年には23万2670人が新規に乳がんと診断され、約4万人が乳がんで死亡している。