アムジェン 4剤上市も18年までに15億ドル経費節減へ 過渡期との見方も
公開日時 2014/11/14 03:50
米アムジェン社は、2015年までに4剤の新薬を発売、一方で18年までに15億ドルの経費節減を行い、将来の成長につなげる考えだ。同社Robert Bradway CEOが、10月28日、ニューヨーク市で開催された投資家対象の会合で同社の成長戦略を明らかにした。
同社は、心血管疾患領域やバイオシミラー(バイオ後続品)をポートフォリオに加えることで、15年までに4剤の上市を目指す。4剤のうち2剤は、心血管疾患治療薬で、慢性心不全治療薬・ivabradine(FDA審査中)、高脂血症治療薬のPCSK9阻害剤evolocumab(14年8月FDA申請済)だ。そのほか、がん免疫療法である二重特異性T細胞誘導(BiTE)抗体blinatumomabがフィラデルフィア染色体陰性再発/難治性B細胞前駆体急性リンパ芽球性白血病(ALL)の適応で9月にFDA申請済み。腫瘍崩壊免疫療法として黒色腫治療薬talimogene laherparepvec(T-vec) も申請済みだ。
さらに、販売経路拡大も図る考え。現在、新規に心血管疾患治療薬の営業部隊を組織している。
同社のSean Harper上級副社長(研究開発担当)は、「アムジェンは、生物学分野で今起きていることの波に乗る会社になると同時に、革新的な薬剤を(患者に)届ける会社になろうと考えている」と話している。さらに、同社の戦略を実現するのは、早期R&Dへの取り組みが重要と指摘する。社内での新規創薬ターゲットを見つけるばかりでなく、外部イノベーションも活用する考え。早期探索研究の柱は、12年に4億1500万ドルで買収したdeCODE Genetics社の遺伝子プラットホームである。
Bradway CEOもHarper上級副社長も、采配が10年以上に及んだKevin Sherer CEO退任後、それぞれ12年に就任したが、アムジェン社の「再点検」を行ってきた。
昨年、アムジェン社が100億2000万ドルでOnyx Pharmaceuticals社を買収する前、アナリストらは、同社の17年の売上は13年を下回るとみていた。Onyxブランドの製品、多発性骨髄腫治療薬Kyprolis(carifkizomib)、肝がん・腎がん治療薬Nexavar(ソラフェニブ)、転移結腸直腸がんおよび消化管間質腫瘍治療薬Stivaga(レゴラフェニブ)は、売上目標達成に貢献するとみられていたが、劇的な成長軌道に乗せるには十分ではないとみられる。
Bradway CEOは、「イノベーションそれ自身だけでは我々の業界にとっては十分でない。我々業界の全員にとって試練は、我々が革新できるかどうかであり、我々が取り組むイノベーションへの投資に対して、適正にリターンを獲得できるかである」と話している。そのうえで、同CEOは、同社は現在成長への過渡期にあるとの考えを示した。
(The Pink Sheet 11月3日号より)