抗PD-1抗体・ニボルマブ メラノーマ適応で2015年早期にも米国で承認か
公開日時 2014/08/07 03:50
米・ブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)は、完全ヒト型抗PD-1抗体Opdivo(一般名:ニボルマブ)のメラノーマ(黒色腫)治療薬として米国での製造販売承認申請を急ぐ。同社は、同剤について化学療法剤ダカルバジンと比較した臨床第3相試験「Checkmate 037」の結果に基づき、第3四半期に申請する計画だ。メラノーマの申請は、アナリストらの予想よりほぼ6~9か月早く、承認は2015年早期になると見込まれる。
BMSは、すでに扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)治療薬のサードラインの適応でBLA(生物製剤申請)の準備を開始している。加速審査での承認取得を目指しており、今年末までに申請する計画。セカンドラインの適応取得を目指し、2本の臨床第3相試験(扁平上皮NSCLC:Checkmate-017、非扁平NSCLC:Checkmate-057)も進行中で、年末にも結果が発表される予定だ。
“PD-1”をはじめとした免疫を抑えるためのチェック機構を担う分子を標的にした薬剤を「免疫チェックポイント阻害薬」と呼ぶ。この免疫チェックポイント阻害剤が注目を集める中で、こうした早期の承認申請によりBMSのポジショニングリーダーとしての地位は高まることが予測される。
BMSは、初の免疫チェックポイント阻害剤としてCTLA-4阻害剤Yervoy(イピリムマブ)について切除不能のメラノーマ治療薬としての適応取得を皮切りに、この領域での開発に注力してきた。
一方で、米メルクは、今年1月に抗PD-1抗体・ペンブロリズマブ(pembrolizumab)について進行メラノーマの適応で加速承認を狙い、早期の申請を目指していることを発表。BMSの前に立ちはだかろうとしている。同剤のユーザーフィーデート(審査完了予定日)が10月後半なので、PD-1/L1ファミリー薬剤では1番手になる可能性もある。6月のASCO(米国臨床腫瘍学会)では、メルクが強力な免疫療法の結果を示したほか、新たな競合者であるアストラゼネカが確実に免疫―腫瘍領域でのリーダー的地位を追いかけ、リーダー企業との差を縮めていることを示した。
PD-1チェックポイント阻害剤のリスク/ベネフィット・プロファイルは臨床第1相、第2相のデータに基づくと、現在までのところ非常に良好な結果を示している。学術誌「Journal of Clinical Oncology」3月号は、米国立がん研究所(NCI)の研究者らが、他の治療法に不応となった進行メラノーマ患者107例におけるニボルマブの長期投与試験において、毒性が限定され、生存の兆候が見られたことに関心を寄せたことを紹介した。ニボルマブの今後と同剤を取り巻く状況に目が離せない。
なお、ニボルマブについては日本、韓国、台湾については、小野薬品工業が開発を進めており、6月26日に開かれた厚労省の薬食審医薬品第二部会で承認が了承されている。
(The Pink Sheet 7月14日号より)