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日本ケミファ 全面免震工場でGE生産 安定供給体制を訴求 ディオバンGEは「採用早い」

公開日時 2014/07/10 03:52

日本ケミファの山口一城社長は7月9日に開いた記者懇談会で、国内唯一の全面免震構造の医薬品製造工場で自社の後発医薬品(以下、GE)を生産していくことで、医療機関側のニーズが高い安定供給に応えていく考えを示した。同社では原薬調達を2か所以上にするダブルソース化も自社品の7割で対応している。競争が激化しているGE採用で、安定供給体制の整備を訴求ポイントに据えるねらいだ。また、山口社長は6月に登場したARBディオバンのGEについて、「病院での採用が非常に早い」と語った。

全面免震構造の医薬品製造工場は、同社子会社の日本薬品工業つくば工場(茨城県筑西市)にあり、6月に本格稼働した。山口社長によると、医療機関のほか、同工場に製造委託している製薬企業からも、天災対応の観点で評価を得ているという。同社の医薬品製造能力はこの本格稼働により、これまでの年間約9億錠が最大14億錠になる。同社の14年度の業績目標をみると、薬価改定影響があっても、製造受託を含めてGE売上は269億円、前年度比10%増を見込んでいる。

■山口社長 ディオバンGEで「シェア10%取りたい」

同社も6月に新発売したARBディオバン(一般名・バルサルタン)のGEの市場動向については、「臨床試験問題もあって、医療機関側にGEに変えていいとのマインドがかなりあるようで、病院での採用が昨年までと比べて非常に早い」と話した。ただ、採用状況はサンドのオーソライズド・ジェネリック(AG)が頭ひとつ出ていて、日本ケミファを含む7社程度のGEが金額、採用件数ともに横一線状態という。同社としては、▽錠剤両面に「バルサルタン」などとレーザー印字した視認性向上の工夫▽薬剤管理を簡便にした包装の工夫――といった付加価値とともに、安定供給体制を前面に出して競争優位に立ちたい考え。山口社長は「GE市場でのシェア10%は取りたい」と意気込みを語った。

なお、同社では12月に新たなGEとして、ARBカンデサルタン錠「ケミファ」(4品目)、抗がん剤イマチニブ錠「ケミファ」(1品目)、抗がん剤オキサリプラチン点滴静注液「ケミファ」(2品目)、抗菌薬レボフロキサシン錠「ケミファ」(2品目)――の4成分9品目を発売する予定。

■DPC病院でのGE採用に営業リソース集中

4月の診療報酬・調剤報酬改定以降のGE市場については、5月までの感触として、数量ベースで約3割増、金額ベースでは概ね2ケタ成長しているとの認識を示した。特にDPC病院でのGE使用促進策として導入された「後発医薬品指数」が追い風になっており、「思いのほか、DPC病院市場でのGE内服薬の採用が進んでいる」と語った。

一方で、保険薬局ではGE使用促進策として「後発医薬品調剤体制加算」(1処方せん当たり18点または22点)の算定ハードルが上がったが、山口社長によると、22点を得られるGE数量65%以上を諦める保険薬局が少なくなく、18点を得られるGE数量55%以上についても、「(18点を)取れないという薬局が出てきており、かなり薬局経営が苦しいようだ」と話した。

同社のGE戦略は、もともと処方せん発行元に訴求する方針をとっており、特にDPC病院に営業リソースを集中させている。これに加えて4月以降の保険薬局でのGE使用の頭打ち感も見受けられることから、「DPC病院での採用活動に全力を挙げ、付随的な効果として保険薬局でも(自社GEが)普及するのがベストだ」と述べ、DPC病院での取組みをより強化する姿勢を示した。

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