FDAのIND拡大アクセスにはバリア 識者が指摘
公開日時 2014/06/20 03:50
米食品医薬品局(FDA)は、臨床試験以外での治験薬(IND)アクセスの申請についてほぼ100%、これを認可しているが、一部識者は、その申請に関する法規制上のバリアのために逆にコンパッショネート・ユースの機会を多数の患者から奪っていると指摘している。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)は、2013年度には合計977件のIND拡大アクセスの申請を受け、3件を除いて認可した。同申請は2010年度の1200件をピークとしてやや低下したが、2009年に拡大アクセスを法制化して以来、ほぼコンスタントな状態を維持している。
FDAは拡大アクセスを以下の3種類に分類している。1.緊急的使用を含む個人の患者、2.中規模サイズの患者集団、3.治験薬治療中の大規模サイズの患者集団。
FDAはほとんどのコンパッショネート・ユースを認可する一方、Q&Aガイダンスでは、かつての同一薬で同一もしくは類似した使用法での要求には応じない可能性があることを明確にしている。FDAは、その理由として、1人の患者と別の患者では臨床的症状は有意に相違し受容できるリスクが異なる可能性があることを挙げている。識者は、FDAのこのスタンスがバリアになっているという。
FDAが同ガイダンスを発行した後、「開発薬へのよりよいアクセスのためのアビゲイル連盟」(Abigail Alliance for Better Access to Development Drugs)のSteven Walker共同創設者は、「そのガイダンスは、関連法規の欠陥をなんら解決していない」と話している。
患者INDの最近の状況について尋ねられたWalker氏は、拡大アクセスプログラムへの批判を繰り返した。同氏は、「900件から1000件という数は、毎年50万人もがんで死んでいるのに低すぎる」と批判した。同氏によると、INDが入手できるかの質問についての95%は申請時点にまでフィードバックされていないこと、さらに医師らは未承認薬の管理やINDを使用するための事務作業に煩わされたくないという状況があることを問題視する。企業にとっては、承認のために十分な試験データを必要とし、拡大アクセスプログラムを終了させようと計画するならプラセボ対照比較試験を実施するために患者をリクルートできない可能性もある。
「アビゲイル連盟」とFDAは、永遠に意見合意をみない運命にあるのかもしれない。Walker氏は、FDAは二重盲検プラセボ対照比較試験を求める承認システムを変更し、患者が服薬しながら行える試験を許可すべきと提言している。だが、FDAは自らの役割を安全性と有効性をさらに厳格にする「門番」だとの見解をとっている。
患者やその家族は、治験薬が入手できない場合、FDAへの攻勢を強めている。患者や家族の中にはインターネットを活用、キャンペーンを張るものもいる。また、企業幹部に対してコンパッショネート・ユースを行えるよう署名運動をするものもいる。こういった努力はメディアを動かし、必要な医薬品のアクセスに成功するケースもある。患者、有識者を巻き込んでの今後の治験薬アクセスプログラムの拡大の成り行きが注目されている。