【World Topics】全国一斉処方薬回収デー
公開日時 2014/06/02 03:50
米国には、”National Prescription Drug Take-Back Day”(全国一斉処方薬回収デー)と呼ばれる日がある。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
4月26日に行われたキャンペーンでは、全米各地に設けられた拠点で、不要となった(使い終わってなお残った、あるいは使用期限切れとなった)「処方薬」を回収するイベントだ。どこの家庭にも、引き出しの中や洗面所のキャビネットなどに、使いかけの処方薬が入っているものだが、それらを「指定の場所に持って来て下さい、当局がひきとってまとめて処理します」というイベントだ。全国津々浦々に回収テントが設けられる。
http://www.deadiversion.usdoj.gov/drug_disposal/takeback/
興味深いのは、年に数回実施される処方薬回収デーが厚労省ではなく、司法省(U.S. Department of Justice)、具体的には麻薬取締局(Drug Enforcement Administration)の主催するイベントであること。米国では医薬品の適切な使用を監督するのは司法省の重要な役割なのだ。というのも、米国の薬物中毒問題では、単にいわゆる麻薬だけでなく、むしろ処方薬が深刻な問題になっているからである。特に問題なのは、近年急増しているADHD治療薬、処方箋を必要とする強い鎮痛剤などである。薬物中毒をコントロールするためである。
全国一斉回収デーでは総重量1500トンを超える医薬品が回収されているト報告されており、イベントの一般国民への啓発効果はきわめて高いと評価されている。処方薬の違法投棄は米国ではきびしく規制されており、関連情報の啓発サイトがつくられている。