米FDA リリーの社の胃がん治療薬Cyramzaを承認
公開日時 2014/04/25 03:50
米食品医薬品局(FDA)は4月21日、米イーライリリー社の血管新生阻害剤Cyramza(一般名:ラムシルマブ)を進行(転移)胃がんもしくは胃食道接合部腺(GEJ)がんの治療薬として承認した。
同剤は、VEGF(血管内皮細胞成長因子)受容体阻害薬で、注射剤。適応は、切除不能もしくはフルオロピリミジン製剤あるいはプラチナ製剤を含んだ前治療法後の胃食道接合部腺がんを含む進行(転移)胃がんである。単剤療法でセカンドラインとなる。
同剤の安全性・有効性は、355例の切除不能もしくは転移胃がんについてプラセボ対照比較臨床試験で検証された。主要評価項目は全生存期間(OS)。OSはプラセボ群3.8か月に対し、Cyramza群5.2か月と大きく改善した。また、同剤投与群では、プラセボ群に比べ、無病生存期間(PFS)も改善した。Cyramzaとパクリタキセルの併用とパクリタキセル単剤を比較した臨床試験でも、併用群がOSを改善したことが報告されている。
臨床試験での主な副作用は、下痢、高血圧など。ラベルには、重篤な副作用に致命的な出血の可能性があるため枠組み警告が設けられた。
FDAは同剤について、優先審査の対象、ならびに希少疾患治療薬の指定を行った。米国立がん研究所(NCI)は、2014年には2万2220人が新規に胃がんと診断され、1万990人が胃がんを原因として死亡すると推定している。
Lilly OncologyのRichard Gaynor上級副社長(製品開発および医事担当)は、「今まで、GEJの適応でFDAから承認された治療選択肢はなかった。FDAが本剤を承認したことを喜んでいる」とコメントした。
臨床試験に携わったTDana-Farber Cancer InstituteのCharles Fuchs博士は、「今回の承認は、患者ならびに医師にとって新規のセカンドライン治療選択肢を提供するという意味で意義のある進歩である」と同剤の登場を高く評価した。
一方、FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur血液・腫瘍製品部長は、米国では過去40年で胃がんの罹患率は減少してきたが、既存治療が無効となった患者は新たな治療選択肢が必要との現状を指摘。その上で、「Cyramzaは、患者の延命と腫瘍の成長を遅らせる力を示した新規の治療選択肢である」と同剤を評価した。