米FDA 盲人の睡眠障害治療薬tasimelteonを承認
公開日時 2014/02/07 03:50
米食品医薬品局(FDA)は1月31日、全盲患者における非24時間睡眠覚醒障害治療薬Hetlioz(tasimelteon)を承認した。同剤はカプセル剤。Hetliozは、メラトニン受容体作動薬である。非24時間睡眠覚醒障害は、全盲者における概日リズム障害。全盲者は光が十分に眼内に入らないために体内時計が24時間の日中・夜間のサイクルに同調することができずに正常な睡眠がとれなくなる可能性がある。場合によっては、昼と夜が逆転し、日中に睡眠を必要とし、夜間に起きてしまうケースもみられる。同剤は、同疾患初の治療薬となった。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のEric Bastings神経学製品部長は、「非24時間睡眠覚醒障害は盲人に我々が普通に受けている日常生活のスケジュールを妨げている」と指摘したうえで、「Hetliozは、夜間眠る能力、日中起きている能力を改善することができる」と同剤を評価した。全盲でも多数の人々は非24時間睡眠覚醒障害にならない程度の光を十分に感知できるが、米国では、10万人程度の盲人は、正常な夜間の睡眠ができるほどには十分に光を感知することができないといわれる。
Hetliozの有効性・安全性は、非24時間睡眠覚醒障害の盲人患者104例を対象とした2本のプラセボ対照比較臨床試験で検証された。同試験では、Hetlioz投与群では、プラセボ投与群に比べ、夜間睡眠の増加および日中の睡眠時間の減少において有意差をもって改善を示した。臨床試験中の主な副作用は、頭痛、血中ALT(アラニン・アミノトランスフェラーゼ)値上昇、悪夢、夜間睡眠障害、上気道もしくは尿路感染、眠気など。
なお、同剤は完全な覚醒を要する作業を阻害する可能性があるため、毎晩就寝前の服用を必須とし、服用後の活動が限定されることに注意喚起している。同剤は優先審査対象となったほか、希少疾病薬の指定を受けた。
Hetliozは、米Vanda Pharmaceuticals(ワシントンDC)が製造する。Vandaは中枢神経系薬剤の開発・商業化に特化しているベンチャー企業。VandaのMihael H Polymeropoulos社長兼CEOは、「Hetliozの承認は、盲人患者などの英雄的努力がなければ取得できなかった」と臨床試験の参加患者に謝意を示したうえで、「我々は、非24時間睡眠覚醒障害が最も必要とする支援の提供とこの新規治療オプションへの患者アクセスの迅速化に取り組む」と同剤のいち早く流通ルートへ乗せる体制確立に意欲を示した。