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新薬12成分薬価収載へ HER2陽性乳がん治療薬パージェタに有用性加算

公開日時 2013/08/22 03:52

中医協は8月21日の総会で、新薬12成分25品目を薬価収載することを了承した。収載は8月27日の予定。HER2陽性乳がん治療薬パージェタ(一般名:ペルツズマブ、会社名:中外製薬)には一定以上の有効性を認め5%の有用性加算、厚労省から開発要請されていた抗てんかん薬イーケプラ(レベチラセタム、ユーシービージャパン)の小児(4歳以上)などにも投与しやすいドライシロップ剤の開発などを評価し、10%の小児加算を認めた。これら新薬は収載後に発売される。 

収載される新薬は次のとおり。

▽イーケプラドライシロップ50%(レベチラセタム、ユーシービージャパン)

効能・効果:「他のてんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法」
薬価:50%1g253.90円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数5.7万人、販売金額5億円
小児加算(10%):加算理由「小児を対象に国内で第3相臨床試験が実施されており、小児に係る用法及び用量が明示的に含まれていること、比較薬は小児加算を受けていないことから、加算の要件に該当する。
また、日本独自の剤形としてドライシロップ剤が開発されたことを加味した」。
 
錠剤と同様にユーシービージャパンと大塚製薬はコ・プロする。
 
▽イルトラ配合錠LD、同HD(イルベサルタン、トリクロルメチアジド、塩野義製薬)
効能・効果:「高血圧症」
薬価:LD1錠130.50円
HD1錠195.80円
市場予測(ピーク時5年後):投与患者数7.1万人、販売金額32.3億円
加算なし
14日処方制限除外
 
ARBイルベサルタンとサイアザイド(チアジド)系利尿薬のトリクロルメチアジド配合錠。LDとHDの違いはイルベサルタンの含有量で、LDが100mg、HDが200mg。トリクロルメチアジドはいずれも1mg。1日1回1錠。
 
▽ルナベル配合錠ULD(成分名:ノルエチステロン/エチニルエストラジオール、会社名:ノーベルファーマ)
効能・効果:「月経困難症」
薬価:1錠327.90円
市場予測(ピーク時4年後):投与患者数3.8万人、販売金額34億円
加算なし 
14日処方制限除外
 
ULDは新規製剤で、血栓リスクが指摘されているエチニルエストラジオールの配合量をLD錠の0.035mgから0.02mgに少なくした。販売は従来のLD錠と同様に日本新薬と富士製薬がそれぞれ行う。
 
▽トピロリック錠20mg、同40mg、同60mg(トピロキソスタット、富士薬品)、ウリアデック錠20mg、同40mg、同60mg(同、三和化学研究所)
効能・効果:「痛風、高尿酸血症」
薬価:20mg1錠20.60円
40mg38.90円
60mg56.40円
(いずれも1錠)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数50万人、販売金額104億円
加算なし 
 
キサンチンオキシダーゼを阻害して尿酸生成を抑制することにより、血清尿酸値低下作用を示す。富士薬品が創製し、両社が共同開発した。
 
▽アラベル内用剤1.5g(アミノレブリン酸塩酸塩、ノーベルファーマ)、アラグリオ内用剤1.5g(同、SBIファーマ)
効能・効果:「悪性神経膠腫の腫瘍摘出術中における腫瘍組織の可視化」
薬価:1.5g1瓶8万7867.30円(原価計算方式で算定)
市場予測(ピーク時5年後):投与患者数1.5千人、販売金額1.5億円
10%減算:減算理由「本剤は従来の院内製剤(試薬の調製を含む)を製剤化したものであり、特に再発例において偽陽性が生じること、本剤投与後の肝機能障害について本剤との因果関係が否定できないこと等を踏まえると、革新性や有効性、安全性が高いとは言えない。しかし、開発にあたっては、国内外の臨床試験成績から日本人悪性神経膠腫患者における本剤の有効性が示唆され、国内臨床現場において海外臨床試験で示されたような腫瘍切除率や予後の改善が期待できることから、減算率を10%が適当と評価した」。
 
新しい診断薬で、アミノレブリン酸代謝物が腫瘍細胞に蓄積し、青色光線をあてると腫瘍細胞が赤色の蛍光を発するというもの。悪性神経膠腫は悪性度の高い脳腫瘍で、推定国内患者数は2000人程度。手術時の麻酔導入3時間前に経口投与する。
 
▽イーフェンバッカル錠50μg、同100μg、同200μg、同400μg、同600μg、同800μg(フェンタニルクエン酸、帝國製薬)
効能・効果:「強オピオイド鎮痛剤を定時投与中のがん患者における突出痛の鎮痛」
薬価:50μg507.50円
100μg708.10円
200μg988.00円
400μg1378.60円
600μg1675.20円
800μg1923.60円
(いずれも1錠)
市場予測(ピーク時5年後):投与患者数1.9万人、販売金額28億円
加算なし 
 
がん患者に一時的に起こる急激な痛み(突出痛)に対し、バッカル部位(上大臼歯の歯茎と頬との間)に投与することで即効性を示す。帝國製薬が輸入・製造し、販売は大鵬薬品が行う。
 
 
▽アセリオ静注液1000mg(アセトアミノフェン、テルモ)
効能・効果:「経口製剤及び坐剤の投与が困難な場合における疼痛及び発熱」
薬価:1000mg100mL1瓶332円(原価計算方式で算定)
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数160万人、販売金額7.5億円
10%減算:減算理由「本剤と経口製剤との薬物動態プロファイルの類似性に基づき、国内の有効性及び安全性を指標とした臨床試験を実施せずに申請がなされていることを踏まえると、革新性や有効性、安全性が高いとは言えない。開発にあたっては、本薬経口製剤の国内臨床試験データを基本データパッケージとし、海外で実施された本剤の臨床試験成績も参考として活用し、承認申請がなされたことから、データの充実度を勘案し減算率は10%が適当と評価した」。
 
1回300~1000mgを4~6時間間隔で投与。小児用量も設定した。小児の高熱で速やかな解熱が求められるものの、小児適応を持つ非オピオイド系静注製剤がなかった。また、成人においても既存の非オピオイド系静注製剤では、肝障害や腎障害、高血圧患者など禁忌患者が多く使いづらかった。その中でアセトアミノフェンの静注製剤の開発が、厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」から求められ、10年12月に同省から開発要請されていた。吐き気などで経口投与ができなかったり、下痢の使用で坐剤の投与が難しいといったケースでの使用も想定される。
 
▽リキスミア皮下注300μg(リキシセナチド、サノフィ)
効能・効果:「2型糖尿病〔ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る ▽食事療法、運動療法に加えてSU剤(ビグアナイド系薬剤との併用を含む)を使用、▽食事療法、運動療法に加えて持効型溶解インスリン製剤(SU剤との併用を含む)を使用〕」
薬価:300μg3mL1キット6972円
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数6.0万人、販売金額109億円
加算なし
 
GLP-1受容体作動薬。同じ作用の薬剤にはバイエッタ(アストラゼネカ)やビクトーザ(ノボノルディスクファーマ)があるが、リキスミアは基礎インスリンとの併用が可能な点が異なる。ビクトーザと同様に1日1回、朝食または夕食前に皮下注する。
 
▽オレンシア皮下注125mgシリンジ1mL(アバタセプト遺伝子組み換え、ブリストル・マイヤーズ)
効能・効果:「関節リウマチ(既存治療で効果不十分な場合に限る)」薬価:125mg1mL1筒2万7171円
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数9.4千人、販売金額120億円
加算なし
 
T細胞の活性化やサイトカイン産生を抑制する生物学的製剤で、同成分の点滴静注用製剤は既にあるが、皮下注用製剤は初めて。皮下注は、自己注射が可能になる。点滴静注製剤と同様にブリストル・マイヤーズと小野薬品がコ・プロする。
 
▽ボンビバ静注1mgシリンジ(イバンドロン酸ナトリウム水和物、中外製薬)
効能・効果:「骨粗鬆症」
薬価:1mg1mL1筒4918円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数43万人、販売金額217億円
加算なし
 
1カ月に1回静注する。ビスフォスフォネート系薬剤で、既存の同作用の薬剤に劣ることなく骨量を増加させ、骨折の発生を抑制する。月1回投与の経口剤の開発はフェーズ3。
 
▽パージェタ点滴静注420mg/14mL(ペルツズマブ遺伝子組換え、中外製薬)
効能・効果:「HER2陽性手術不能または再発乳がん」
薬価:420mg14mL1瓶23万1866円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数2.5千人、販売金額100億円
有用性加算2(5%):加算理由「トラスツズマブ(遺伝子組換え)は薬価収載から10年が経過しているが、化学構造及び投与形態等において本剤との類似性が極めて高いことから、トラスツズマブを最類似薬とすることが適切。国際共同第3相試験において、全体集団について、主要評価項目である無増悪生存期間及び副次評価項目である全生存期間の有意な延長が認められていること、あらかじめprotocolに規定されたとおりアジア人サブグループを含む部分集団解析についても実施され、全体集団と一貫したデータが得られていたことから、治療方法の改善が客観的に示されていると判断した」。
 
同剤はヒト化HER2モノクローナル抗体で、腫瘍細胞で過剰発現が見られる受容体型チロシンキナーゼのHER2に結合、HER2の二量体形成を阻害し、腫瘍の増殖を抑制する。乳がん患者の2~3割程度でHER2が関与しているとされ、HER2陽性術後乳がん患者の一次治療としては、推奨されている「化学療法+トラツズマブ」に同剤の併用も可能。
 
▽ビソノテープ4mg、同8mg(ビソプロロール、トーアエイヨー)
効能・効果:「本態性高血圧症(軽症~中等症)」
薬価:4mg1枚89.30円
8mg1枚123.00円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数9万人、販売金額32億円
加算なし
 
ビソプロロールフマル酸塩の経口薬(メインテート錠)はすでに承認・販売されている。今回了承された経皮吸収型製剤は、経口薬に比べて血中濃度が持続し、安定した降圧効果が得られるといい、経口投与不能な患者が選択できるようになる。流通・販売はアステラス製薬が担当し、トーアエイヨーとアステラス製薬がコ・プロする。
 
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