国際医療研究センター・中村氏「利便性と治療の確実性がプラリアの特徴」
公開日時 2013/07/05 05:02
国立国際医療研究センター総長特任補佐の中村利孝氏は、新規骨粗鬆症治療剤「プラリア皮下注60mgシリンジ(一般名:デノスマブ(遺伝子組換え)、第一三共)について、6カ月に1回の皮下注射製剤である“利便性”と治療効果の確実性が同剤の特徴だと述べた。同剤の登場により、現在の骨粗鬆症治療の課題の1つである、治療継続率の低さを克服する可能性も示唆し、「まさに待ちにまった薬剤」と同剤の登場を歓迎した。7月3日に開かれた第一三共メディアワークショップの中で、自身の見解を示した。
中村氏は、現在の骨粗鬆症治療における課題として、処方どおりの服薬ができていない患者が治療開始後には約半数にのぼっているとのデータを示し、治療継続が期待できる薬剤が望まれているとした。その上で、同剤の海外の臨床第3相試験「FREEDOM」、国内の臨床第3相試験「DIRECT」の結果から、優れた骨折抑制効果に加え、腰椎だけでなく、従来の薬剤では効果が少なかった大腿骨頸部や橈骨遠位端1/3に対しても、強力な骨密度効果を示すことを紹介した。中村氏は、6か月に1回の皮下注射という利便性についても触れ、「利便性と確実な治療効果が治療継続性を向上させるカギ。プラリアは、いくつかの課題を乗り越えていく薬剤の1つになるだろう」と期待感を示した。
FREEDOM試験のサブグループ解析では、36カ月後の推定大腿骨近位部骨折発生率がプラセボ群に比べ、相対リスクで62%と大きなリスク低下を示したことから、「確実な有効性を示すが、より有効性を示すのは高齢者」と説明。「(患者負担が)ビスホスホネート製剤とほぼ同等であることを考えると、幅広い患者さんに使うことを考える」とした上で、高齢者の方、特に大腿骨頸部骨折のリスクが高い方にはお勧めしたい」と述べた。
また、同剤の骨密度増加効果の高さを強調。2010年に承認された、骨形成促進作用を有する副甲状腺ホルモン製剤・テリパラチド(遺伝子組換え)から同剤、同剤からテリパラチドに切り替えるなどして、2剤を用いることで、「5年間で、平均20%骨密度を増やすことができるだろう。これは、骨密度上は、骨粗しょう症領域を凌駕し、正常範囲内ないしは少なくとも骨粗しょう症範囲を超えてくることを見出す薬物ができてきたということ」と説明。「テリパラチドとデノスマブで、骨粗鬆症治療は新しい時代に入った」との見解を示した。
一方、安全性については、国内臨床第3相試験で低カルシウム血症が0.8%報告されていることも紹介。「十分にカルシウムやビタミンDを摂取すれば、防ぐことはできる」とした上で、実臨床で有害事象をモニタリングする上では、「活性型ビタミンDないし、カルシウム/ビタミンD製剤を処方することで、最初は月1回、その後は3カ月に1回程度診察することが現実的」との見解も示した。
◎第一三共・木伏氏「安全性を第一に適正使用を推進」 整形外科、内科への情報提供にも力
第一三共専務執行役員医薬営業本部長の木伏良一氏は、同剤の市場導入にあたって、骨粗鬆症に新しい治療を提案するとした。その上で、用量が異なるものの、ランマーク皮下注120mgで低カルシウム血症について安全性情報(ブルーレター)による注意喚起を行ったことにも触れ、「安全性を第一に考えて適性使用を推進する」と述べた。適性使用ガイドを通じ、カルシウム/ビタミンD製剤の補充と血清カルシウム値のモニタリングの重要性などを周知するとした。
同剤のプロモーションについては、専任MR制は敷かず、整形外科に加え、未治療の潜在患者が多くいると考えられる内科に対し、安全性情報も含めた情報伝達に力を入れる。